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みちしるべは道路標識の略

 く、く、く、の苦痛は浄化され、激しい黒夜は立ち消える。激しい後悔さっぱりと霧散雨消する。ないて泣いた夜や昼や夜や昼、夜中に起きる眠り姫。

 黒花野氷華は教室にいた。

「氷華君、この漢字の読みを答えてください」

「はい」

 ここは1人の教室。一般的な広さの教室。彼女の他は誰もいない。

 いや、先生がいた。広い教室で2人きり。もちろん勉強のため。

 こっちの世界には、人間関係の苦しみがない。一部の人のために。いや、大半の人に絶対必要だ。

「さて、これで授業はおしまいです。さようなら」

「さようなら」

 氷華は学校を出る。氷華の通う学校は、氷華の他に5人の生徒が通っている。だが、全くすれ違ったりはしない。そんなことは起こり得ないように元々作られている。

 1日の授業は6時間。だから6人の先生が必要。全て違う授業をしなければいけない。その方が脳に良い。だから6人の先生と生徒。

「あ」

 佐々機善吾先生はちょっとかっこいいとも思う氷華。

 歩いて、家まで向かう。因みに殆ど人には会わない。人には合わない彼女は同年代の集団が嫌いなので、年彼女とが5歳前後の集団と会わないように工夫されている。ここは徹底的に構造化された世界。

 あっ蝶が飛んでいる。黒花野は手を伸ばす。蝶は捕まらない。でもまた手を伸ばす。蝶はひらひら飛んでいく。また手を伸ばす。今度は両手でつかまえる。でも蝶は手をすり抜けてひらひらひらり飛んでいく。また手を伸ばす。蝶はひらひら飛んでいく。また手を、あ、蝶の行方に足を取られ、縺れて転ぶ。だが、彼女はめげない。パンパンと膝を叩き、また蝶に向く。全身全霊で彼女は蝶を手で捕まえる。蝶は手の平をすり抜ける。ひらひらひらひら。

  家に着く。自宅の。

「お帰りなさい」

「ただいまです、鞠さん」

 この家は公務員の鞠さんがが親の役をする。

 

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