イモ☆ヤン びぎにんぐ ~ヤンデレ生誕祭・・おぞましいもの・・~
たとえこの想いが偽物だとしてもかまわない
はーい、ヤンデレ劇場はっじまっるよー!!
・・・
すべってしまったね。
やぁ、久しぶり。皆のカリスマ、ヤンデレの妹が好きすぎて夜も眠れないしんちゃんだよ。
うん、うんざりした顔をしているね。
仏の顔も三度までっていうしね、君には本当にすまないと思っているんだ。
うそだけど。
そう、うそ。
僕は蛍ちゃん以外の人など、なんとも思っていない人非人だからね。
君にはとことん付き合ってもらうぜ。
なにせ、あのパンツマンすら退けたんだ、こんな壊しがい・・ゲフンゲフン
素敵な人はいないからね(キラリ☆)
え、よるな変態って?
ひどいなぁ、大丈夫だよ今日はパンツマンは出ないから。
・・・多分ね(ボソっ)
ああ!?ごめん帰らないで、ほんと、ほんとだから!!
今日はパンツマンは出ない。
真面目な話さ。
・・・ここに一つの本がある。
なんだと思う?
え、お前のことだから妹がらみのロクでもないものだろうって?
するどいね、正解だよ。
そう、これはロクでもないもの・・・禁断の果実。
妹の日記だよ
・・・ドン引きしてるね。
うん、妹の日記を持ってくるなんて兄として最低の行為だ。
最低の屑とのそしりをまぬがれない。
でも・・・よく言うだろ。
好奇心は猫をも殺す
てさ。
あれは言い換えれば、死んでも知りたいことがある。人間の探究心は止められないっていうことなんじゃないかな?
僕は知りたいんだ。
愛する蛍ちゃんの気持ちを。
深くもっと深く。
だから僕は食べるぜ。この禁断の果実を。
・・・さぁ、蛍ちゃん!!
僕にその心を教えておくれ!!
私は兄のことが嫌いでした。
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・・・・・世界なんて滅びればいいのに。
イモ☆ヤン びぎにんぐ
~ヤンデレ生誕祭、そしてお兄ちゃん終了のお知らせ
あ、ありのまま起こったことをいうぜ
嫌われる覚悟でヤンデレの妹の日記を読んだら、すでに嫌われていた
な・・・何を言ってるのか分からないと思うけど
僕も何をされたのかわからなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった・・・
オーラだとかパンツマンだとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてない
もっとおぞましいものの片鱗を味わったぜ~
・・・さぁ、死のうか。
止めないでくれ!!
妹に嫌われた!!
そんなの・・・もう死ぬしかないじゃない!!
・・・えっ、嫌い「だった」って?
そ、そうだよね、過去形だもんね!!
今は違うよね!!
・・・・っフー!!
僕としたことが醜態をさらしたね、ごめんよ。
蛍ちゃんの愛を疑うなんてどうかしていた・・・
さぁ、気を取り直して続きを読もうか。
きっとフォローがあるはずだぜ。
気持ち悪いとも思ってました。
・・・いあ、いあ、はすたー
止めないでくれ!!
フォローどころかトドメ刺されたんだ!!
もうこうなったら全てを無に返すしかないじゃない!!
・・・ぐはぁ!!
な、殴ったね!?蛍ちゃんにもぶたれたことないのに!!
え、落ち着けって?死ぬのは最後まで見てからでもいいだろうって?
・・・そうだね、小野真一はさっき死んだ。
ここにいるのは一匹の骸、生ける屍・・・
もう何も怖くない・・・
続きを読もうか・・・
私には兄がいます。
文武両道、容姿端麗。
性格は穏やかで、いつも笑顔を絶やさない。
そんな誰にでも自慢できるような兄でした。
普通だったらそんな兄を持ったことを誇らしく思うのでしょう。
でも、私はどうにも兄が苦手でした。
兄にいじめられた。ということはありません。
むしろ兄は私にとても優しくしてくれました。
それなのに、私は兄を嫌っていたのです。
その時は、その理由はわかりませんでした。
ただ、兄の側にいると漠然とした恐怖がありました。
何かが壊れてしまうような。そんな恐怖が。
なので、私は兄を避けるようになりました。
両親や友人との時間を多くとり、なるべく兄に会わないようにしていたのです。
両親。
父と母はとても優しい人達でした。
お互い天涯孤独の身だったようで、家族をとても大切にしていて、私が甘えると、沢山の愛を返してくれる。
私は、そんな両親を何よりも愛していました。
決して失いたくないと、そう思っていました。
そんな、何よりも愛しい宝物は、あっけなく壊れたのです。
交通事故。
急な仕事で遠方に出かけた両親は、車の故障により帰らぬ人となりました。
絶望。
その時の私の心境はただこの一言でした。
泣きました。涙が枯れ果ててもなお。
そんな私に対して、兄はただずっと傍にいてくれました。
ずっと頭を撫でてくれました。
この時からでしょうか、兄に対する感情が変わったのは。
理由の分からない恐怖はまだ残っていましたが、親愛がそれを上回ったのです。
当然だと想います。もはやこの世に家族と呼べるのは兄だけなのですから。
自然と兄と接する機会が増えました。
兄はやはり優しい人でした。
時々襲ってくる悲しさに涙している時、必ず兄は傍にいてくれました。
深い愛を感じました。
私は段々と兄のことが好きになっていきましたが、それでもなお理由のない恐怖は残っていました。
いえ、好きになればなるほどその恐怖は増していったのです。
その恐怖は耐え難いものでした。
まるで自分がなくなるような、そんな怖さ。
私はまた兄を避けるようになり、友人との付き合いを増やすようになりました。
友人。
私には親友が二人居ました。
向日葵さんと水月さん。
一人は活発で光り輝く太陽のような子。
一人は物静かで儚げな感じのする月のような子。
タイプの違う二人ですが、違うからこそ惹かれ合うのでしょうか。
とても仲が良くいつも一緒にいました。
そんな二人の親友である私は、なんとも場違いな気がしてなりませんが、太陽の子曰く
惹かれすぎるのは良くないから、間に立つ人が必要なのよ。
二人だけいればそれで良いというのは異常だわ。
とのこと。
私はただの添え物かと、少し寂しく思っていると
馬鹿ね、言ったじゃない必要だって。
貴女がいてこその私達。
それを添え物なんて言う奴がいればぶっ飛ばすわ。
愛してるわよ、蛍子。
と男前な事をいう、向日葵さん。
そうですよ、蛍さん。
貴女は私たちの何よりも大事な宝物。
その絆を壊そうというのなら、私は悪鬼とも対峙しま
しょう。
愛してますよ、蛍さん。
と顔に似合わず熱いセリフを言う、水月さん。
・・・うかつにも惚れてしまいそうでした。
そんな二人との時間はただただ楽しく、兄に感じた恐怖も忘れることができました。
そんな楽しい時間を知ってもらおうと、二人の事を笑顔で話していると、兄は「そう、よかったね」と優しく頭を撫でてくれました。
その時の兄の顔を見ていれば、何かが変わったのでしょうか。
・・・向日葵さんが死にました。
太陽のような愛しい笑顔は永遠に失われました。
なぜなら、その顔はもうどこにもなくなってしまったのですから。
彼女の遺体には首から上がありませんでした。
・・・殺されたのです。
また、私は大切な物を失ってしまいました。
耐えられなかった。
心が壊れそうだった。
そんな私を救ったのは、やはり兄でした。
大丈夫だよ。僕は決して君から離れない。
何もかもが私から去っていくかのような恐怖に襲われていた私にとって、それは天啓のような言葉でした。
兄は、今まで一度たりとも私に嘘をつかなかった。
約束を守ってくれた。
だから、その言葉に素直にすがりつけたのでした。
この時、私の心は兄に囚われたのです。
その後、クラスメイトが怪死する事件が続きました。
私と仲の良かった順に。
それでも私はもう怖くありませんでした。
兄がいるから。兄は傍にいてくれるから。
絶対の安心が私の心を守ったのです。
そんなある日、道端で兄と水月さんを見かけました。
・・・水月さんを見るのは向日葵さんの葬式後初めてでした。
彼女は向日葵さんを失ったショックで心を閉ざし、家に閉じこもっていたからです。
水月さんは今まで見たこともないような真剣な顔で何かを話し、兄はそんな彼女を愛おしそうに見つめていました。
何を話しているのか聞き取れませんでしたが、風のいたずらかただ一言だけ耳に届きました。
・・・最後の引き金が
・・・・愛して・・・・
水月さんの声でした。
・・・・え?
これって告白だよね?
そう、私は思ったのです。
今まで見たことない真剣な水月さんの表情、そして愛してという単語。
それに前に水月さんは言っていたのです。
貴女のお兄さんが気に掛かる
と。
・・・愛の告白と思うには根拠は十分でした。
それに対するのは、兄の愛おしそうな顔。
瞬間、私の思考は黒く染まりました。
このままでは、兄の一番が私ではなくなってしまう。
兄が離れてしまう。
今度こそ、私は一人になってしまう。
・・・ふざけるな
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
・・・許さない、この
泥棒猫
お兄ちゃんは絶対に奪わせない!!!!!!!!!!!
・・・私の手は彼女の胸を貫いていました。
驚愕する彼女。
さあ、どんな醜態をさらすのかと、暗い喜びで一杯になっていた私の心は
ごめんなさい、蛍さん。
私は貴女を救えなかった・・・
哀切に満ちた彼女の言葉に砕かれたのです。
そして、放心する私に、兄の言葉が聞こえました。
ああ。可哀想に蛍ちゃん。
これで君は全てを失ってしまったね。
でも、大丈夫、僕がいるよ。
僕は君の傍から離れない。
君は僕の傍から離れられない。
愛しているよ、蛍ちゃん。
・・・全てを、理解しました。
その時、私は死んだのです。
そして・・・
私が生まれました。
うん、私も愛してるお兄ちゃん。
小野蛍子という一人の少女は消え、ただ兄を愛するヤンデレがそこにいました。
溢れ出る多幸感、でも涙が止まらないのは何故でしょう。
まぁ、でもきっとどうでもいいことなのでしょう、この幸せに比べれば。
・・・サイレンの音が聞こえる。
誰かが通報したのでしょう。
邪魔だな。とそう思いました。
兄との逢瀬を邪魔する不純物。
さて、どうしてくれようと思った時、一つの案が浮かびました。
それは兄の持っていた漫画の登場人物のやったこと。
己の意を通すための方法。
・・・方針は決まりました。
これより始まるは、新たな門出を祝う宴。
せいぜい派手にやるとしましょう。
・・・涙はもう、止まっていました。
これが私が終わり、私が始まった顛末です。
人はこんな私を見て不幸だと、哀れだというのでしょう。
しかし私は幸せなのです。
満たされているのです。
たとえこの想いが偽物だとしてもかまわない
私は愛に包まれているのだから
決してその愛から逃れられないのだから
ね、お兄ちゃん。
だから私も
貴方を決して逃がさない
私を壊した責任はとってもらうからね
愛してるわ、お兄ちゃん。
・・・・
・・・・ああ、逃げないよ。決して。
必ず君を幸せにするから。
愛してるよ。蛍ちゃん。
・・・めでたしめでたし
・・・ん?どうしたんだい?
話は終わりだぜ。
いやー、初めはどうなることかと思ったけど、やっぱり蛍ちゃんは僕を愛してくれてたね。
よかったよかった。
・・・ドン引きどころか、無表情になっているね。
ん?なに?この外道がって?
おいおい、今更そんな事言うのかい?
いった筈だぜ。僕は人非人だって。
蛍ちゃんを手に入れるためならなんだってするよ、彼女の心を壊すことだってね。
そんな事は前にも言っただろうに。
・・・やはり貴様はここで殺す、か
奇遇だね、僕も同意見だよ。
・・・君は強すぎる。
もしかしたら僕よりも。
不安要素は消さなきゃいけないだろう?
・・・僕には責任がある。
彼女の心を壊した責任が。
だから死ぬわけにはいかないんだよ、悪いけどね。
病める時も、健やかなる時も
彼女を永遠に愛し幸せにする。
それが僕の愛、僕の責任のとり方だ。
そのためには君は邪魔だ。
ここで、死んでもらうよ。
・・・と言いたいところだけど、すまないが一時休戦にしないか?
怪訝な顔をしているね。
君は感じないかな?
この禍々しいオーラを・・・
うん、すまない
バレたみたいだ
蛍ちゃん超怒ってる。
このままじゃ僕の貞操がやばいんだ。
だから逃げるのに協力して欲しい。
え?まっぴらごめんだって?
つれないこと言うなよ
君も共犯なのに
え、だって君も読んだろ、日記。
同罪だよ。このままじゃ君の貞操もやばい。
・・・自分が主演しているアヘ顔ピースビデオレターはけっこう心にくるものがあるぜ。
理解したようだね。自分が今どれだけやばい状態にいるかを。
それじゃあ、逃げよう。
仮に捕まっても二人がかりならなんとか倒せ・・・・
「話はそれで終わりかな、お兄ちゃん。」
あ・・・死んだこれ。
うん、二人がかりでどうにかなるなんて見当違いもいいところだった。
対峙しているだけで心が砕けそう。
どうしよう。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
なんだい蛍ちゃん
「なんで、私の日記を持っていったの?」
それはね
出来心でした。テヘペロ☆
「・・・そう
お兄ちゃん、私はお兄ちゃんのことを愛しているよ。」
知ってるよ。ありがとう蛍ちゃん。
「でね、お兄ちゃんを喜ばせるために色々なことを勉強しているんだけど」
そうか、嬉しいな
「でね、その中に愛し方についてとても興味深い供述があったの。
天啓だったわ。これは是非とも参考にしたいと思った。」
へぇ、やな予感しかしないけど、どんなのそれ?
「・・・愛するなら壊せ
そうよね、自分の手で壊してしまえばもう、誰のものにもならないもの。」
蛍ちゃん、蛍ちゃん、多分それ意味が違う。
あと、それ言った人、全人類に対するヤンデレだから参考にしちゃいけません。
「貴方に私の愛を示そう
さぁお兄ちゃん。そこのお友達と一緒に逃げるなら逃げなさい。許してあげてもいいよ。」
「・・・この夜を越えることが出来たのなら。」
それにしてもこの妹ノリノリである。
だけど活路が見えた。
逃げるだけならなんとかなるかもしれない。
・・・僕の中のアラームが、ユー・ダーイ!!って連呼しているのが気になるけど・・・
さぁ、行くぜ、君!!
僕達の戦いはこれからだ!!!
て、うわー、なんだあれー、すっごく名状しがたいー
こうして、絶望の夜が開幕した。
好奇心は猫をも殺す
この言葉の意味を身をもって噛み締めるのは
もう少し後のおはなし・・・・
おしまい
おまけ
やっぱりオーラには勝てなかったよ・・・
「ジー(REC)、ああ、お兄ちゃん、貴方は誰よりも美しい・・・」
分かりきった結末を語ることはない。
その後の彼の運命は悲惨・・・ただその一言・・・
・・・魔の宴は終わらない・・・・
おわれ
三作目の三作目です。
またやっちまいました。こいつら書きやすいんでつい・・・
今回はシリアス多めですが、楽しんで頂けたら幸いです。