9/12 0:27
今回のコメント
今日の夕食
ごはん
秋刀魚の塩焼き。
サラダ。
焼豚。
いや、大丈夫だからね。
まぁ、見てなさいって。
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日記部の中間テストも無事終わり、学生生活における中間テストも無事終わった。とはいえ、結果は散々で追試を二科目受けてしまった。
高月先輩はその結果に冷めた目つきで「お勉強ができるのね、草弥君は」なんて嫌味をもらう始末。滝川先輩は「勝った! 私は一科目だけだぞ」なんて言って笑ってた。そんなわけで日記部の面々は今日も平和である。
「良いわけない! 甲斐斗、一学期はそんなんじゃなかったでしょ!」
僕が座る席の前で仁王立ちなのは沙和だった。僕を見下ろしながら、頬を膨らませて不満一杯な表情を表現している。高月先輩もこれぐらい素直だったら分かりやすいのに。
「日記部に入ってから、甲斐斗はドンドン変わっていくね。夏休みが終わって、髪染めてくる生徒より性質悪いよ」
「きっとその人達は大人の階段昇ったんだ」
僕は窓へと視線を移し、遠くを見つめる仕草をした。沙和は僕の視界に無理やり入ってきて口を尖らせる。
「甲斐斗は人としての階段を降りてる気がするんですけど!」
「どういう意味だ。家でゴロゴロする僕の方がましだったっていうのか?」
「少なくとも学業においてはね」
うっ……言い訳できねえ。僕が言葉に詰まっていると、沙和はしゃがんで僕の机に頬杖をつく。さっきまでの厳しい眼差しではなく、少し悲しそうな瞳だった。
「心配なんだよ。この前なんか、制服が焦げ臭かったでしょ。私、まさか部室で煙草とか吸ってるのかと思ったのよ」
「煙草の臭いは焦げ臭くないぞ。それにあれは偶然河川敷で見知らぬオッサンがやってた焚き火に当たりすぎたせいだって言っただろ」
すると沙和は眉間にシワを寄せて、僕に顔を近づける。
「滝川先輩からも同じ匂いがした」
「あの人はずぼらだから、消臭しなかっただけだろ。高月先輩なんかは……はっ!」
「誘導尋問に引っ掛かったね。やっぱり日記部が原因だったんだ」
何この妻のような積極的尋問は! コイツの夫になる人間はきっと苦労する。断言する!
「す、少しはやるじゃないか、沙和……」
「ふん。甲斐斗が馬鹿なだけでしょ。追試人間」
「て、てめえ……」
僕が口を歪ませて震えていると、沙和はため息をつきながら独り言のように言った。
「私、高月先輩に直接文句言いたいよ……」
「馬鹿っ! 高月先輩は何も悪くない!」
「殲滅の日記姫なのに? 五十人の男を手玉に取ったような人だよ」
僕はようやく沙和が心配する気持を理解した。学内では未だそういう評価だったのか。日記部の中にいると、分からないものだ。
「それは誤解だぞ」
「甲斐斗、高月先輩にマインドコントロールされてるんだって噂だよ」
「お前は高月先輩がどんな悪人に見えるんだ」
「だって……目つき怖いし」
目つきは外見上の問題だろ。それに僕は少しキツい目つきの方が好きだ。沙和はタレ目だけどな……じゃねえよ、せめて高月先輩に対する評価の元凶を取り除かないと。
「五十人が一度に退部した事件だって、元はといえば平光先生のイタズラが原因なんだ」
「はかりちゃんが? 確か日記部の顧問だよね……」
平光先生は女生徒からは親しみを込めてはかりちゃんと呼ばれることが多い。しかし、今の僕からすれば「ちゃん」付けすることすら恐ろしい。
次の更新は……1~2時間後
起きていればね!