表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/539

9/5 3:40

今回のコメント


・理想って言うのは果てしなく遠くにある。

少しはこっちを向けよ! って言っても向いてくれない。

なのにふとした瞬間に凄く近くにあるように思えるときがある。


もしかして理想の瞬間に近づいたのか?

って思った時には、また遥か遠くにあったりする。


小説かいてても、仕事してても、生活をしてても、

「あっ、今すげー幸せかもしれない」という瞬間があるよね。

なんつーか、胸が熱くなる瞬間っていうか。


何が言いたいんだろう。

だけど夜中に書いてるとそういう瞬間がたまにある。

こんな夜中に熱中して書いてる僕、幸せかもって。


同時に明日の心配もするけど。

う~ん、何が書きたかったのだろう。

わかんないけど、まっ、いいか。(いいのか?)



***********************************



 教室に戻った僕は帰りの仕度を始めた。すると沙和が足取り軽く鞄を持って近づいてきた。僕は少しイラついた気持で沙和を一瞥する。


「もう帰るの?」

「ああ。家ぐらいしか行くところがないんでね」


 すると沙和は僕の顔を覗き込むようにして屈んだ。


「なんだか目つき悪いなぁ」

「生まれつきだろ」

「そうだね。イケメンでもないし」

「あっそ。どいてくれよ。帰るから」


 いちいち沙和の言葉が引っ掛かる。きっと沙和には陸上部がある、それに対して僕は日記部を出て行った人間だから、きっと僕が一方的に拗ねてるだけだ。そうだよな。どうせ僕が悪いんでしょ。なんだか暴自棄な気持ちになってきた。


 僕は居たたまれなくなって、沙和を避けるように歩きだそうとした。

 しかし。沙和は僕の進路を邪魔する。どういうつもりだコイツ。僕は睨みつけるように沙和をみた。すると彼女は瞳を潤ませて、口を一文字に閉じて僕を見つめている。


「な、なんだよ」


 さらにずいっと顔を寄せる沙和。僕は一歩下がってしまった。


「甲斐斗、一緒に帰ろう」

「お前は部活だろ」

「今日は部活休むよ」

「何言ってるんだ。お前は――」


『向かう場所があるだろ』と言いかけたが、沙和が自分の手で僕の口を塞いだせいで、モゴモゴとなってしまう。代わりに沙和が小さく舌を出した後、僕に囁いた。


「今日はサボり。たまにはいいでしょ?」


 耳にかかった沙和の息で、僕は脱力してしまう。結局、一緒に帰ることを承諾してしまった。帰り道を二人で歩く。沙和とは中学時代も一緒に帰る機会は全然なかった気がする。


「こうやって帰るの久しぶりだね」

「そうだな」

「ふふ~ん♪」


 隣をうかがうと、沙和が体を少し弾ませて歩いている。今にもスキップしそうな勢いだ。そんなに部活サボるのが楽しいなら、辞めればいいのに。満面の笑みを急にこちらに向けて沙和が声をも弾ませる。


「ねえ、寄り道しようよ♪」

「小学生か、その言い方」

「いいでしょ、別に。モンブランが絶品のカフェがあるの」

「えー。甘いのはちょっとなぁ」


 すると口を尖らせて沙和が上目遣いで僕を見つめる。


「もう、甲斐斗は。女子高校生と付き合うのに甘いものは避けて通れないよ」

「めんどくせ」

「すぐ男子って『めんどくせ』って言うよね。ケーキ食べるのは面倒じゃないよ」

「いや。そういう意味じゃないから。挨拶みたいなもんだから」

「『めんどくせ』が挨拶? よく分からないよ……」


 説明するのも面倒くさいので、僕はついていくことにした。


 ついたカフェは僕には入店しにくい雰囲気が満載だった。まず、カーテンがヒラヒラがついている。クマのぬいぐるみが置いてある。何これ? 今時ありなのか? と思わせて満席に近い盛況ぶりだった。これは相当モンブランが美味くなきゃ割が合わない。

 僕たちは席に座るとそれぞれに注文すると、ケーキと飲み物が届くまで、少しの間を過ごすことになった。


 高月先輩ならこういう間ができると恐怖さえ感じるだが、相手が沙和となるとまったく緊張しない。それだけではなく、沙和から話しかけてくれるので本当に楽だ。

 話の大半は中間テストの内容や陸上部の愚痴とか教師の噂話等、どうでもいい内容だが、今の僕には十分だった。本当に弛緩した世界が広がっていたが、緊張した世界よりましだ。


 モンブランとコーヒーが届くと、話も一段落した。一口モンブランを口にすると、とんでもない美味しさが広がった。これはどのクリームも完全に栗を使っている。さすがは秋だ。栗を贅沢に使ってやがる! などと感心していたら、沙和が頬杖ついて僕をじっと見つめているのに気づいた。

 

す、少しはしゃぎすぎたかな。僕は咳払いして、コーヒーをすする。沙和はそんな僕を見てにこりと笑った。


「うん。やっぱり甲斐斗はこうでなくっちゃね」

「どういう意味だ」

「子供っぽいところ」

「お前が言うな。さっきまでディスプレイのクマのぬいぐるみで遊んでたくせに」

「あれは可愛さアピールだよ」

「ばらしてどうする。それに俺にアピールしても意味ないぞ」

「甲斐斗はこんなの嫌い?」


 どうだろう。もし高月先輩が同じことしたら……可愛くていいかもしれない。

 

 じゃねえ! なんですぐに高月先輩を例に出す! 僕は意味なく首を振った。それを見て沙和は首を傾けた。




よし、寝よう。

寝ないと明日がやばい。

明日が怒ってる。もう寝ろって。(妄想?)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ