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9/4 23:58

今回のコメント


・実はすでに「鈴鹿オクトパス」と「テリトリープリンセス」の文章量は超えてしまっています。

こんなに長いの書いたの久しぶりだなぁ。

とはいえ、全体の半分も行ってないのだけど……


***********************************



 授業が終わると皆それぞれの場所へ向かう。学生の場合大抵は部室か自宅だ。僕はもちろん自宅派だ。少し前までは向かう部室があったのだが、一週間前から元に戻ったのだ。行かないと決めてからは、気持が楽になれた。家に帰ると溜まっていた積みゲーをこなす。久しぶりにゲームをすると楽しい。本当に楽しい。楽しくて死にそうだ。そう言い聞かせる。


「草弥君」


 クラスの女の子に呼び止められる。僕が振り向くと彼女は教室の扉を指差した。クラス中の「今日もか」という雰囲気を感じた。出入り口に立っているのは滝川先輩だった。僕は大袈裟にため息をつくと先輩へと向かう。


「今日もご苦労様です」

「今日は来るんだよな?」

「いえ。昨日も言いましたが、日記部を辞めます」

「すまないが、ちょっと付き合ってくれ」


 滝川先輩は頭を何度かかくと僕を連れて人目のつかない裏庭へと連れて行く。僕も渋々ついて行った。別についていく義理はない気がしたが、迎えに来てくれる優越感と高月先輩の動向が気になっているというのが、僕の頭を占めている。

 裏庭にたどりつくと滝川先輩は僕に頭を下げた。


「頼む、草弥甲斐斗。お前の力が必要なんだ。今日もアイツは一人で小テストに望んでいるんだ!」

「大丈夫ですよ。滝川先輩と二人いれば」


 僕は半笑いで滝川先輩に答える。滝川先輩が一生懸命になればなるほど、冷めた気持ちが覆う。さんざん美国進と比べたくせに何言っているんだ。僕の気持を知ってか知らずか滝川先輩は僕の肩をつかんで揺さぶる。


「違うんだ! すでにお前がいなくなってから亜也は十回以上も小テストを受けている」


「だからなんなんです。頑張ってください」


 僕は滝川先輩の手を払って、背を向けた。ここまではいつもの会話だ。正直、聞き飽きた。


「待ってくれ! 詳しくは言えないが……手遅れになってしまう」

「手遅れ? 何がです?」

「言えない。私の口からはこれ以上いえないのだ。だけど信じてくれ。もう、お前じゃないと亜也は救えないんだ!」


 ここ一週間まったく話す内容が変わっていない。

「高月先輩が一人で小テストに望んでいる」

「手遅れになる」

「僕じゃないと高月先輩を救えない」

 理由を聞くと、言えない、ときたもんだ。


 小テストを勝手に受けているのは高月先輩じゃないか。手遅れになるって、どうぜ輪転の誓いを使えないから身の危険があるってことだろ。僕じゃないと救えないっていうのは皆が殲滅の日記姫を怖がっているからだろう。


 結論、もう高月先輩には関わらない。だいたい高月先輩が臨んでいるのは僕じゃないだろう。高月先輩がここに来ないのが何よりの証拠だ。


 そう思うと、嫌味の一つでも言いたくなった。いつもならここで話が終わるのだけれど、僕は話を続けた。


「そんなに高月先輩がピンチなら美国先輩でも呼び戻したらどうです? 今は大学生か社会人なんでしょ?」


 はい、これで解決だ。滝川先輩だって分かってるはずだ。しかし、滝川先輩の表情はすぐれない。俯いてしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。


「美国先輩はもうこの世にはいない」


 ちくりと僕の胸に棘が突き刺さった。嫌味で言ったつもりだったのだが、滝川先輩の言い方だともう死んでいるのだろう。僕も思いのもって行き場所がわからず、滝川先輩に頭を下げた。


「……そうですか。軽率な事言ってすいませんでした」

「だから、お前が――」


 滝川先輩が僕に言いながら近づいてきたので、僕は手で制した。


「僕は美国先輩の身代わりですか?」

「それは……」

「滝川先輩も結局僕を代わりとしてしか見てなかったんですよ。じゃあ答えは簡単だ。早く代わりを探してください」


 この世にいないのならなおさらだ。誰が選ばれたとしても美国進の代わりとしてしか機能しないじゃないか。僕は美国進の代わりじゃない。


 滝川先輩はそのまま立ちつくしている。反論できないのが、答えだろう。僕は背を向けて教室へ戻った。





完全に集中力が、がた落ち!

風呂入ってくる!(要らぬ情報)

次の更新は1~2時間後(やればできる……のか?)

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