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今回のコメント
・おまけ
現在登場した各年代の日記部部長一覧
期生 名前 別名
86 高月亜也 殲滅の日記姫
85 美国進
76 野須虎男 不幸の大魔王
69 阪田利行 爆笑王
66 滝川真琴
63 御木本孝美 バブル王子
59 天野つばさ 冒険王
57 大沢ユミ 仲裁女王
52 中野幸次郎 競輪ドンキホーテ
48 多野松雄 女装王子
44 横山欽一 元祖爆笑王
30 佐々木籐五郎 クマ殺し
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というのが入部の次の日の出来事だ。
それ以来、部活動での出来事や心配事がないか聞いてくるのが沙和の日課になっていた。沙和がいつものように僕の机の前に仁王立ちする。
「一ヶ月以上続くなんて、本当に日記部が楽しいんだね」
「なんか引っ掛かる言い方だなぁ」
「別に~」
すると沙和は人差し指を自分の顎に当てて、斜め上を見て考え事の仕草をする。
「……私も日記部に入ろうかな」
「お前は陸上部だろ」
「文化部の掛け持ち大丈夫なんだよ」
「止めておけ!」
僕は自分でも驚くぐらいの強い口調だった。沙和は目を丸くしていた。
「なんで?」
「いや……それは」
「あーっ、やっぱり高月先輩が――」
「そんなんじゃねえって言ってるだろ!」
僕の声に教室中が一気に静かになった。沙和も肩を震わせて驚いている。どこからか舌打ちも聞こえた。僕は我に返る。ゆっくりと沙和に視線をあわせた。彼女は少し怯えた表情をしていた。
「……甲斐斗?」
「ごめん。ちょっと言い過ぎた」
僕は座りながらではあったけど、頭を下げた。完全にいつもの調子ではなかった。原因も分かっていた。美国進。奴が元凶だと言うことを。
「甲斐斗……」
名前を呼ぶと同時に僕の頭の上に沙和の手がぽんと乗せられる。
「嫌なことがあったらちゃんと言うんだよ」
頭を下げた姿勢のまま僕はちょっと泣きそうになってしまった。女の子に慰められるなんて情けない。だけど、同時にありがたいとも思った。
「大丈夫だよ。嫌なことなんてあるわけねえだろ」
「そ。じゃあいいけど」
沙和はにっこり笑って後ろを向いて自分の席へ戻っていく。気づかぬうちに僕はその背中に声をかけていた。
「あのさ」
「ん?」
「僕、もしかしたら日記部を……」
言いかけた口を急いで塞ぐ。言葉にしてしまうと取り返しがつかない気がしたのだ。沙和は小さく首を傾けたが、やっぱり笑顔に戻って言葉をかけてくれる。
「甲斐斗、いつだって私はアンタの味方だからね」
「沙和……ありがとう。お前もなんかあったら僕に言うんだぞ」
「へ? あははは、そうだね。その時は相談に乗ってもらおうかな」
最近は日記部のことで頭が一杯だったから、沙和との会話が息抜きに思えた。友達のありがたみが分かった気がする。滝川先輩や高月先輩はやっぱり先輩であって友達ではないからな。
次の更新は1~2時間後で(ぼちぼちと)