9/2 1:34
今回のコメント
・う~む。調べることができると、手がとまりがちになる。
でも今は話を進めることを優先しよう。
調べて詳しく書くのは第二稿以降だ。
だけど……気になってしまう。
ええいっ、余計なことは振り払いたまえっ!
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「偉そうな言葉は、自分で逃げられるようになってからにしなさい。最下級生」
夏休みのプールサイドでのあの対応とはまるで違う、突き放された気持になった。あの時優しくされた事が嘘のようだ。僕は体温が一気に下がるような感覚に襲われた。
「草弥、気持はわかるが、ここは亜也の言うとおりにしてくれ」
滝川先輩が背中越しに言葉をかける。一瞬背後に目線をそらした後、再び高月先輩と向き合う。元々つり目なので怖そうに見えるのだが、眉間にシワを寄せた表情は余計に怖く思える。
滝川先輩が言うんだから、きっと高月先輩には策があるのだろう。納得行かないけど……僕はしぶしぶ小指を出した。
すると高月先輩が僕の小指に自分の小指を絡めた。本当に指切りをしたかったらしい。小指が触れ合ってる状況に少しだけ、頬が熱くなってきて緊張きた。こんな状況で何考えてんだ、僕は! という僕を無視するように高月先輩は俯いて呟きだした。
「輪転の誓いにより我の願いに応えよ」
呪文? な、なにこの厨二的展開は? 高月先輩は恥ずかしげもなく、真剣な表情のまま唱え続ける。
「回顧せよ、想起せよ、顕現せよ! 第六十三期生、御木本孝美っ!」
高月先輩が指切りを離し、手を前に差し出すと光の矢がどこからともなく飛んできた。光の矢は高月先輩の手の平で止まると、その形を現した。日記帳だった。平光先生が行なった事に酷似している。日記帳を開くとページを次々とめくっていく。真ん中辺りで手を止めると、差し出した手とは反対の手で日記帳の上をかざす。
「八月二十五日、僕はお父さんとクレー射撃に出かけた!」
高月先輩が日記本文と思しき文章を読み上げると、日記帳から何かが伸びてきた。日記帳に対して長い鉄の棒のようなものが二本くっついてどんどん姿を現す。鉄の棒に四角い木製の物体がくっついている。やがて僕にもハッキリと理解できた。日記から(なぜだかわからないけど)飛び出してきたのは、銃だった。銃口が二つくっついている、水平二連続銃だった。オリンピックの競技でよく観る銃だ。
▲銃の詳しい描写(後で調べる)
「さすが、バブル時代のブルジョワ。夏休みに海外でクレー射撃とは!」
滝川先輩が高月先輩に向けて感心している。いや、日記帳に向けてが正しい。日記帳から完全に飛び出した水平二連続銃を手に取ると、高月先輩は崖の上を見つめた。
一緒に僕も崖の上を見ると、クマが僕達を見下ろしている。僕は身構えたが、滝川先輩は僕の肩を掴んだ。
「まぁ、みてろ。亜也が追い払う」
「あの銃でですか? 高月先輩は十八歳以下なのに銃が扱えるんですか?」
「初めてじゃね?」
「無理じゃないですか!」
「でも、御木本孝美ならできるだろう」
滝川先輩は僕に微笑みかけると高月先輩に話しかける。
「使い方は分かるよな?」
▲銃を構える詳細描写。
すると高月先輩は銃口を崖の上に向けて、構える。僕はもちろん素人だけど、銃を構える姿がなんとなく様になっていた。
「日記は読んだから。彼、自慢癖があって色々記述があったから」
高月先輩の指が動くと、轟音が鳴り響く。僕と滝川先輩は慌てて耳をふさいだ。目を瞑って時間をやり過ごすし、再び目を開けて崖の上を見るとクマの姿はなくなっていた。滝川先輩が高月先輩へ近寄っていく。
「あたったのか?」
「少しは。でも、この銃じゃあクマは殺せない。追い払っただけ」
「じゃあ……」
「危機は去ったと考えてもいいと思う」
「はぁ~、よかった」
滝川先輩は高月先輩をねぎらうように何度も肩をたたいた。僕は安堵で腰が抜けて、腰砕けにその場に座った。
んじゃあ、更新は1~2時間後。