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今回のコメント
台風が二つ近づいている!
輸入商品を扱っている仕事なので、船が遅れると、遅れると対応に追われる! 残業しないといけなくなる!
いや~! 早く帰りたい!
でも、今から会社。
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高月先輩は僕から腕を離すと、スカートを押さえつけた。僕は腕を放された反動で完全にバランスを失い、宙に浮いてしまう。そのまま真っ逆さま。
結局、肩口から地面に叩きつけられてしまった。高月先輩はスカートを押さえつけたまま正座するように着地した。
「少しは時間が稼げると思う」
滝川先輩は腕組みしながら、肩をさする僕と正座したまま動かない高月先輩に向けて話し出す。先に逃げたと思ってたけど、逃げ場所を探していたのかな。
滝川先輩の計算だったとしたら高月先輩と役割分担ができているのか……ってことは、もう何度も体験してるってことだよな。
「夕実……」
高月先輩がよろよろと立ち上がる。脛を何度か払うと擦り傷を負っているのがうかがい知れた。
「なんだよ」
「アンタ、勝手に逃げたでしょ!」
「あ、バレた?」
計算じゃなかったーっ! 高月先輩は滝川先輩に歩み寄り、指差してなにか言おうとする。しかし、滝川先輩は僕を指差して言葉を制す。
「後輩が見てますけど、セ・ン・パ・イ」
「え?」
高月先輩は僕へ振り向き、視線がぶつかった。途端に先輩は眉間にシワを寄せてぷいと横を向いた。なんでこっちに怒ってるの!?
「という茶番は置いておいて」
滝川先輩が誤魔化した。高月先輩はそれ以上何も言わなかった。どこまでが本気なのだろうかこの二人。
「いつもなら逃げ惑い、試験終了まで待つところだが、今回は違う」
すると高月先輩が頷いた。僕が首を捻ると、二人がこちらを向く。高月先輩は少しだけ瞳を細め、小さくため息をついた。
「輪転の誓いが使える……一年ぶりかな」
りんてんのちかい? なんのことか分からず、さらに首を捻ると、高月先輩は僕に近づいてくる。滝川先輩が高月先輩の後ろから声をかける。
「やり方はわかっているのか?」
「見よう見まねだけどね」
「で? 誰の日記を使う?」
「そうね……第六十三期生の御木本孝美を使う」
「あぁ、あのバブル王子か」
相変らず会話の意味が分からないまま、高月先輩が僕へ小指だけを立てて、を伸ばしてくる。
「私と指切りして」
「は? 何言っているん――」
「早くっ!」
急かされると何だか少しカチンと来てしまった。散々わけの分からない会話を繰り返し、挙句の果てに指切りしろだなんて納得がいかない。まずは説明してもらわないと。
「ちゃんと事情を教えてくださいよ」
「事情? 何の?」
「今の状況とこれから行なおうとしていることですよ」
「後でね」
「誤魔化さないでくださいよ! 僕は巻き込まれているんですよ!」
僕にだって大声で文句言う権利があるはずだ。しかし、高月先輩はまったく動じる様子がない。それどころか、さらに僕に近づいてくる。顔が近づいて数十センチまで迫った。大きな瞳が僕を捉え、動けなくなった。
すると、厚い唇が動き、やや低い声で言葉を投げかけた。
「偉そうな言葉は、自分で逃げられるようになってからにしなさい。最下級生」
夏休みのプールサイドでのあの対応とはまるで違う、突き放された気持になった。あの時優しくされた事が嘘のようだ。僕は体温が一気に下がるような感覚に襲われた。
ということで、今回はここまで。
会社に行って来ま~す!