3/19 2:01 「きらきら、きら」
今回のコメント
ここで出てくるライブハウスもモデルがあります。
課長がライブしたところです。(課長って誰だよ)
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「だから言ったろ、鹿せんは大切だって!」
いつものたこ焼き屋で社長は勝ち誇ったように私に言う。
「うるさいなぁ、だいだい鹿ママを舞台に上げること自体が間違いじゃないの?」
「お前は勘違いしているぞ」
「へ?」
割り箸を私向けて社長は高らかに宣言した。
「鹿ママがあくまでも主役だ。鹿ママを出さないんだったら、お前も出番なしなんだよ」
「聞きたくない、そんな真実!」
「明日から鹿ママ様と呼ぶんだ」
「嫌だ、呼ばない!」
「……反抗期か。鹿ママもさぞかし困るだろうな」
「人事みたいに言うな、この反抗期の元凶が!」
コイツはまたとび蹴りを食らわせたい衝動に駆られたわ。
私が黒い感情に覆われていた時、背後から声がかかった。
「はい、お待ちどうさま」
「あれ? 柳君、こんなメニュー頼んでないよ」
たこ焼き屋を営む奥戸三兄弟の末っ子柳君。高校でもトップクラスのイケメンで、魅惑の眼鏡クールとかいう名前が密かに女子の間では行き渡っている。
「サービスだよ、いつもご贔屓にしてくれている御礼」
「ありがとう!」
「いや、金は俺が出しているんだが」
無粋な社長は無視することにした。お礼を言ったものの柳君は動こうとしない。
「どうしたの?」
「いや、”馬鹿兄貴”こと真と千尋ちゃんがいつも陽ちゃんの相手をしているから、たまには出てこないと思って……じゃあ行くね」
よく分からないけど、柳君はお店に帰っていった。
柳君がいなくなった後、社長は咳払いをして皆の注目を集めた。
「来週がいよいよライブだ。気を引き締めて行こう。ちなみに場所は鈴鹿ボイルドエッグ。オリジナル曲を三曲。カバーを二曲の予定だ」
「あのオリジナル曲の二曲はまだもらっていないのですが……」
「それだけどな。この前もらって来た。メールでもらっていたのだけれど直接言いたいことがあって行ってきて、今日修正版が届いた」
すると紗江子は驚いた表情を見せた。
「じゃあ、とび蹴りされたから、休んだわけじゃなかったんですね」
「その精神的ショックもある」
すると全員が私を見た。途端にいたたまれない気持ちになる。
「こ、こっち見ないでよ……」
こうして初ライブまで一週間を切ったのでした。
更新は1~2時間後!(70%)