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3/14 6:52 「きらきら、きら」

今回のコメント



やっぱり掛け合い書くのって楽しいね!



********************************



 わ、私、肩を触れられてる! どんどん心音が大きくなって私の耳に鳴り響く。思った以上に硬い感じの指なんだ……強張った私の表情を見たからかな? 長峰さんは少し顔を上げて、にっこりと微笑んでくれた。


「皆、本当によくやってるよ。きっとこれからもっとよくなる」

「は、はい……」間抜けな返事しかできない。


 長峰さんの顔が上がったせいで少し筋張った首元が見える。なんだか見てはいけないものを見たような気がした。柔らかい笑顔と対照的なので、私はつい視線をそらしてしまう。


「さぁ、食べよ~」

「ですね。まだ全部は揃ってないですけど、お腹すきましたから」

「そうだよ~、紗江子ちゃんきっとお腹すいてたから、イライラしてたんだよ~」

「そ、そうですね……」


 長峰さんの一言から、ピリピリしたムードがすぐに和んでしまった。やっぱりこの人がいてくれて良かったと思う。私は暖かい気持ちになって、微笑もうとした。


「つーか、長峰甘すぎ」


 今までの流れをぶった切る、中性的な声がした。私は身震いする。やっぱり来たのかコイツ。


「陽。今度はステージの後ろを爆破するから、お前そこに飛び込め」

「できるわけ無いでしょ! 突拍子も無いことを言わないでください!」


 長峰さんとは対照的にTシャツにスカジャンにジーンズを履いた、茶髪のちゃらちゃらした男が私と長峰さんの間から顔を出す。


 この人が私が所属する事務所の社長、深山大吾みやまだいごだ。二十代後半で事務所を立ち上げ、三年目。ローカルアイドルの突拍子もない設定もすべてこの人の仕業だ。


「しかし、鹿ママを危険な目にあわせるのはいただけない」


 ちなみに鹿ママはこの人が世話をしている。ゆえに鹿ラブな姿勢は崩さない。


「あれは鹿ママが逃げたせいで……」

「お前がヒモを持つ仕事ぐらいできないのが問題だろ」


 社長の言葉に紗江子が何度も頷く。くそう、今日は我慢しようと思ったのに。思ったのに……私はの限界は簡単に訪れた。


「はぁ~? 何言ってるの?」


 言ってしまった。長峰さんの前では、もう怒るまいと思ったのに!


「私に被り物をつけたのはどこのどいつでしたっけね!」

「ココのコイツだよ。なんか文句あるか」


 自信満々に自分を指差す社長に私は頬を引きつらせた。この無意味な自信過剰ムカつく!


「文句有り過ぎて私の頭の中で交通渋滞起こしてるわ」

「お前の頭の中が一方通行の一本道だからだろうが! この単細胞! バイパス作れ! 公共事業増やせ! 道路工事しろ!」

「はぁ~~~~? 私の国会では公共事業なんてありませ~ん。天下り禁止~」

「お前、公務員が何でもかんでも天下りしていると思うなよ。大半の公務員がなぁ……公務員はなぁ……」

「公務員がなによ」

「なんで、オレが公務員の味方してるんだよ!」

「しらないよ!」


 私が怒鳴ったところでヒミコさんが、のんきな声で合いの手を入れた。


「二人とも仲良いわね~」

「馬鹿同士の会話にしか見えませんけど」


 続いて紗江子も口をだす。この小娘もいつかぎゃふんって言わせてやる!



次回更新はまた夜にでも。


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