3/14 4:55 「きらきら、きら」
今回のコメント
逆転の発想!
もう眠いなら寝てしまえ!
だけど、早く起きる! という作戦!
たまたま今日は上手くいきました。(え?)
さぁ、どんどん行くよ!(誤魔化した)
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……とは言え、このまま倒れている訳にもいかない。狭い視界の先には舞台袖に立っている人影が見えていた。グレーの背広に青いネクタイ、180センチ台の長身で眼鏡を光らせて私を見つめて……もとい、睨んでいた。
私たち「鈴なりディアーV」のマネージャー兼プロデューサーの長峰樹さんだ。
――樹さんが、お、怒ってる! 私はとっさにヒモを掴むと、飛び上がるように立ち上がった。樹さんに見せようと「とったぞ~!」と言わんばかりに体を震わせながら両手を上げた。
その瞬間、紐が短かったせいで、鹿ママが私の元へ引っ張られ、怒った彼女が前足で私の頭を殴りつける。幸い被り物の顔にぶつかっただけだったけど、顔が回転し、真後ろに顔が向いてしまった。鹿に殴られて顔が百八十度回ったアイドル。そして曲が終了した。
丁度音が鳴り終わったところで、観客から小さな歓声が上がった。
「ベルル自由すぎる!」
またやってしまった……私はダンボールの中で冷や汗をかいていた。幸い、視界ゼロだったので、助かった。周りが見えてたら恥ずかしくて死んでたと思う。女子高校生として生き恥をさらすわけにはいかない。
きらきらした光の粒子は、こんな私からはまったくでておらず、アイドルには程遠い気がした。
いつのころからだろうか。私は人の「きらきら」が見えるようになった。簡単に言うと、その人が放つ魅力が可視化できるというもの。華がある人から放たれるきらきら。なんでこんな能力があるのかは正直分からない。
でもテレビで売れっ子のアイドルとか見ると、本当にきらきらしてて眩しい。光の粒子のようなものが彼女達の体をとりまいて画面に向かって放たれていた。まるで光のシャワーが降り注いでいるようだった。しかも、ぽかぽかして暖かい。生きている躍動感がそのまま表れていた。
なので、私にとってアイドルは文字通り光り輝く存在だった。
そう、三ヶ月前までは。
「お疲れ~」
私たちは出番を終え、帰り道のお店で打ち上げを行っていた。とはいえ、未成年なのでジュースなんだけど。微炭酸が程よく喉を通り抜ける。やっぱり仕事の後のライフガード最高。
更新は1~2時間後(80%)




