2/19 5:29 『永遠なるもの』
今回のコメント。
前々回と前回はターニングポイントの合図となった回になります。
今回から本格的な終わりに向けて走り出します。
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一時間後、私はデブリの自宅にいた。
「色々説明してもらう事があるんだけど」
「え……うん」
デブリは正座して私を見上げた。いつもならちょっと睨んだだけでよそ見をするんだけど、今回はジッと私を見つめる。迷いがない表情をしている。木崎に会って迷いがなくなったのかもしれない。それはきっと。また願いを叶えたという事か……
それよりも少し気になったことがあった。部屋が昨日より少し散らかっている気がした。私が視線を周りへ向けたことを察知したのか、デブリは後頭部を手でかきながら、照れくさそうに言った。
「昨日、ちょっと木崎さんと、もめちゃって……」
「ふーん」
もう一つ気になることがあった。だけど、今の返事で全てを察した。だけど、念のため、確認することにした。
「もう聞いたとは思うけど、昨日ウチにも木崎は来たよ」
「うん。知ってる。ごめんね、僕のせいで……」
私は申し訳なさそうに頭を下げようとしたデブリの顎を指で下から押し上げる。自然と顔が上がり、私と向き合う形になった。
「は? アンタのせいなんてないんだけど」
「でも……」
「アイツの本音も聞けたし、こっちとしては収穫あったわ。で? 木崎の願いは聞いてあげたんでしょ?」
「それなんだけど……」
デブリは顎を押し上げている手をとって、自ら私に視線を合わせた。真剣な眼差しが私を捉える。デブリのよく通る声で私に言った。
「木崎さんの願いは断った」
「……そ、そうなんだ」
デブリの人相に変化がないことから、私は願いを叶えていないとわかっていた。だけど、あらためて本人の口から聞くと、嬉しくてニヤつきそうになるのを必死で我慢した。
「大木さんどうしたの? 変な顔して」
「うるさい、変な顔はお前だろう!」
私はデブリへチョップを食らわせた。デブリは悶絶してごろごろ転がる。二、三度大袈裟に転がった。壁近くまで転がると、デブリは動きを止める。丁度私に背を向ける格好になった。
「裏切りものって言われたよ……もう、僕はお払い箱なんだってさ」
更新は1~2時間後(60%)