2/19 4:32 『永遠なるもの』
今回のコメント。
前回とかぶっている文章量が多いですが、流れを考えれば、ここからないとしっくりこない気がして載せました。
決して文字稼ぎじゃないですよ。
マ ジ で !(必死だな)
***********************************
再び目を明けると、私はまたベッドに寝ていた。携帯電話を抱いているのは変わらない。携帯電話を確認すると朝七時だった。ゆっくりと体を起こして部屋の奥を見る。
だけど、そこには誰もいなかった。「そりゃそうだ」と私はベッドから起きて、服を着替える。テレビをつけっぱなしにしながら、朝食の用意をした。食パン二枚とゆで卵、牛乳だった。なにも考えずにテレビを眺めながら、もぐもぐと食べ進める。
テレビでは色々なニュースが報じられていく。特にクリスマスイブということもあり、華やかな話題が多かった。でも、もしかしたら明日には、クリスマスなのに集団で行方不明者がでた、なんてニュースが流れるかもしれない。その中には木崎や赤石がいるのかもしれない。
離れていったお父さんは新しい家庭で、お母さんは若い男と並んで見るのだろう。
別れたバカ男共はどうせニュースなんかみないで、パチンコ屋の開店を待っているのかもしれない。
会社の皆もニュースを見ても、関係なくせわしなく仕事しているんだろう。
由実だって木根君と協力しながら、事件の話もそこそこに旅館の手伝いをするだろう。
皆どこかで生活を営んでいる。特別なクリスマスイブだって同じだ。
そして。
もしかしたら今まで私と出会ったけど、この世にいない人がいるかもしれない。残念だけどもうその人は生活を営んでいないわけだけど。
だけどね。私という存在自体が、生きている人も死んだ人の存在も体現しているんだと思う。これからも寂しいと思うときが来るだろう。きっと自暴自棄になってどうでもいいやって思う時は来る。だけど、そんな時、そっと胸に手を当てよう。皆という存在が私を作っている事を思う。そして私も皆の一部として生きている事を。
私は自分自身だけじゃなく、皆の命尽きるまで、ずっと息づいているんだと思う。そう思うと、ちょっと私は心強くなる。
こうやって一人で食べる朝食も、がらんとしている室内も、今を構成する要素なんだと思うと愛おしくなる。あぁ、こうやって一日が始まるんだなと思うと、よろしくねって声をかけたくなる……日もたまにある。
周りには人はいないけど、私自身が皆の存在した証として不可分に存在しているんだと思う。私達は見えないけど今日も皆で食卓を囲んでいるんだと思った。さっきの夢みたいに。
だから私は「メリークリスマス」って心の中で皆に語りかけた。
そう考えると、思いが形になり、キラキラした光となって、部屋のあちこちに存在しているように感じた。きっと外へでても光は無数にあって、私の記憶を刺激して、不安にさせたり、心強くさせるだろう。
さしあたって私は携帯電話を見る。予想通り携帯電話もキラキラ輝いていた。私は手を伸ばす。
怖くはない。全てが私の味方だ。光に手をさらに伸ばす。無理に笑わなくてもいい方法はある。きっとまだ私にやれることがあるはずだ。だんだん頭が鮮明になってきた。すると、道が広がっていった。私は光を掴んだ。
私は携帯電話を手繰り寄せ、電話をかけた。数コール後に相手が電話にでる。私は相手が何か反応する前に話し始めた。
「デブリ、すぐにアンタの部屋に行くから」
いつの間に私は緑川の事をデブリって呼んでた。まぁいいか。
更新は1~2時間後(70%)