2/17 5:00 『永遠なるもの』(録筆)
今回のコメント。
電話の文章ってけっこう難しいね。
相手の感情は言葉と口調でしか表現できないから。
ほかでもできるかな?
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由実はやっぱり知っていた。そして待っていてくれたのだ。私は申し訳なさでいっぱいだった。それは叶わない願いだと思っているから。すぐに私は返答した。
「でも、駄目。いつだって本気になった途端、手からすり抜けるんだから……私のすることはどこにも繋がらない。自分の孤独さえも埋められない」
私の声は少し震えていた。感情がコントロールできなくなってきたのかもしれない。また、小学生時代の私や、母が出て行った日の朝や、男に手酷い仕打ちをうけて歩く夕暮れや、深夜の一人きりでのオフィスが頭に浮かんだ。
由実は「美佳の言う事は分かった」と言って、また少し沈黙する。
おそらく数秒の出来事だったろうけど、私にとっては数分に感じた。そして由実は息を軽く吸い込んで、話を始めた。
「ちょっとだけ私に話をさせて」
「……うん」
「私は大学生のからの知り合いだけど、いつだって美佳を凄いと思ってきたよ」
友人の声は静かでゆっくりと話していく。私はなんだか落ち着いて聞けた。
「ろくでもない男達と付き合ってはいたけど、その付き合い方には手を抜いたと事はなかったよね。正直私は何度も同じことを繰り返す美佳をみてため息がでたけど、同時に思ったよ『この子は人を信じる事を止めないんだ』ってね。だから私も負けないように人を信じようと思ったの。そしたら木根君が現れた。私は運が良かっただけだと思う」
由実が私をそんな風にみていたのかと意外に思う。てっきり呆れているのかと思っていた。
「仕事のことも同じ。美佳から連絡がなくて、会社へ様子を見に行った時も、入院しているあなたの事を心配している人はいたよ」
初めて聞いたそんなこと。皆、いつも私を遠巻きに見てたじゃない。そんなの信じられない。きっと社交辞令だよ。
「話でしか聞いてはないけど、高校の成績凄かったんでしょ? 沢山勉強して努力したんだよね」
一番を取ったことはないし、勉強していた動機も不純だし、真剣に勉強へ取り組んでいる人にば失礼だと思っていた。だけど、普通の人から見れば、良さ気に見えるのかもしれない。
「野球だってお父さんや好きになった人に振向いて欲しくて練習をしたんでしょ? 野球しているフリだけでも良かったのに、真剣に練習してレギュラーになった」
あれは野球が面白かったからやっただけだよ。別にレギュラーになろうとしたわけじゃない。
「どうせアンタのことだから、私の言う事を否定してるんでしょうがね」
……ばれてる。
更新は1~2時間後(100%)
(録筆です)