2/16 23:15 『永遠なるもの』
今回のコメント
へへへ、昨日の記憶を辿りながらなんとか完成っ!。
さぁ、今日も行っちゃうよ!
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「はぁ? だったら余計に譲れない。緑川はアンタのおもちゃじゃないから」
すると、木崎から作り物の笑顔のまま「チッ」という舌打ちが聞こえてきた。足を震わせている。怖いわけではない、イライラしているようだ。
「あ~、もう緑川のことは今は置いておく。ようするに私はアナタに負けたくないの」
こんなに直接いう子だったっけ? 同窓会で会った時よりも、せっかちになっているような気がした。これが本当の木崎なのかもしれないけど。木崎は口元に手を当て、私を見据えた。
「昔、嫉妬心から私を苛めたでしょ。くだらない理由ね」
私がすぐに反論できないとみるや、木崎は畳み掛けるように話を続けた。
「だからアナタみたいな能天気な幸せ者には負けたくないの」
確かに苛めた理由はくだらなかった。それは反省している。苛めたのも悪かったと思っている。だけど、能天気な幸せ者呼ばわりされるのは許せない。
「私の何がわかるの? 幸せだって言い切れるの?」
「あら? 不幸自慢しようっていうの?」
まるで待ってましたとばかりに、木崎はニヤリと口角を上げた。私は背中に寒気を感じた。
「だったらしましょうか? 両親が離婚したのはお互い様でしょう。だけどね、継父になぶられた事はある? 屈辱的な時間をすごす人間の気持ちはわかる? 思考を停止させようとしたり、現実逃避もしたわ。なにより誰にも助けを求められなくて笑って誤魔化した日々を私は忘れない」
鵜呑みにしてはいけない。自分で言っているだけだ。私は言い聞かせる。だけど、話の内容が衝撃的なだけに、私は動揺してしまった。
木崎は笑い顔を作ったまま、話を続けた。
「勇気を出して継父の事を告白したら、母親に無視された事は? アイツは私に起こったことを認めたくなかったのよ。だから私は自分で解決した。継父を半殺しにしてやったの。でもね、その代償に精神に異常をきたしたとみなされて病院へ無理やり押し込められた」
私はまったく言葉を挟めずにいた。木崎は私を見ているようで、見ていない。焦点が合っていないように見える。
そして、木崎自身が興奮してきたのか、どんどん早口になる。さらに感情が高ぶっているせいか、時折強い口調になった。
「やっとの思いで退院したものの、まともな身寄りのなく、学歴もない私が生きるためにしたことをここで列挙しましょうか? 聞きたい? 聞きたいでしょ?」
木崎は私の肩を掴んで、二、三度揺らした。私はなすすべもなく、ただ揺らされた。
「私は自分の力で今の地位を築いたの。優しい人達に囲まれて、甘やかされてきた、アンタとは違うのよ!」
更新は1~2時間後。(95%)