2/14 6:00 『永遠なるもの』(録筆)
今回のコメント。
思いつきで書くのは良くないよ!
さもなければ僕みたいに終盤にきて辻褄合わせに嫌気がさしてくるから!
でもいいのだ!(どっちだよ)
***********************************
私がジッと考えながら黙ったままでいると、緑川は急に頭を下げた。
「ごめんなさい」
「理由もないのに謝るな。だけど、もう十分に怒ってる」
緑川は子犬が叱られた時の様にしょんぼりしている。私は「もう」と言いながらため息をつく。なんだかやっぱり怒りきれない。私が甘いせいだろうなきっと。
「あのね。私が怒っているのは、アンタの願い事を粗末に使って、自分はどうなってもいいのかってこと」
さっきまでの話を考えると緑川の願いは五回叶えられるらしい。
一回目は社長の記憶を消すために。
二回目は記者の姿を戻すために。
三回目は社長の記憶を取り戻すために。それぞれ使用された。
そして、四回目は真美ちゃんの願いを叶えるために使用される予定。
つまり、後一回しか残されていないのだ。
願いをかなえたら、あの記者みたいに緑川はあの怪物になるってことでしょ?
「いいよ、もう」
そしたら緑川は顔を上げてニッコリ微笑む。あんまりスッキリした表情に私は呆気にとられる。
「あんたねえ……」
私が腰に手を当てた瞬間に緑川が強引に言葉を挟んだ。
「それよりも、聞いて欲しいことがあるんだ」
「なに?」
「最後の願いの使い道なんだけど……」
緑川は私を真っ直ぐに見つめてくる。嫌な予感がした。できることならすぐに耳を塞ぎたい。
「本当に大木さんには感謝しているんだ」
「へ~、どういたしまして」
何言ってんのアンタ。黙れよ。続きを言うな。私にこれ以上悩みを抱え込ませないで。
「だからね。僕の最後の願いをもらってくれないか」
最悪。予感が当たってしまった。
「せめてものお礼だよ」
緑川の表情は本当にサッパリしていて、ムカつく。まるで自分の善行を疑わない表情。拒まれないだろうと思っている。
「大木さんの願いはなに? 教えて」
「私は……」
さっさと断れよ。もう一人の私が言う。いや、私だってそう思うんだよ。
……だけど。
「大木さん? どうしたの?」
「ゴメン。今すぐは無理だわ、明日言うよ」
私は怖くなって緑川のマンションを飛び出した。
肯定するわけでなく、否定するわけではなく、逃げ出したのだ。
一瞬だけ過ぎったから。
私も永遠に続くものが欲しいって。
今日はここまで。