2/14 4:00 『永遠なるもの』(録筆)
今回のコメント。
今日のご飯
八宝菜。
ごはん。
豚バラと野菜炒め
なにこの取り合わせ。
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「隔離ってどこへ?」
「……木崎さんしか知らない場所へ連れて行かれるんだ」
「どこ?」
「わからない。木崎さんは『永遠なる場所』って呼んでる。地図にはない場所だって」
雲を掴むような話だ。「永遠なる場所」ってかなり厨二っぽいし。
だけど、現実に起ころうとしている話だ。
「そこでどうするの?」
「木崎さんはそこで永遠に暮らすらしいよ」
ますます、どういうつもりなのかさっぱりわからない。
「なにそれ? 会社はどうするの。経営者でしょ?」
「仲井戸に任せるって。木崎さんの願いは別に会社の運営じゃないから」
一体、永遠なる場所ってなんなの? 疑問に思った瞬間繋がった言葉ある。
同窓会でのあの言葉だ。
『私は誰かとずっと寄り添える永遠が欲しいな』
『永遠なんてねえよ』
『ある。でも、それは自分で作らないといけないけどね』
嘘だよね。本当に作るつもりなの?
つまり、人生に絶望した人間を化け物にして、木崎と一緒に住まわせるってこと?
社長という地位を捨ててまで達成したいことなの?
私は木崎の執念を感じて怖くなってきた。
「計画は順調に進んだ。サンタ役の人選もできた、願いをかなえる子供も境遇に恵まれない子に絞った。後は当日を待つだけだ。だけど、木崎さんにも心残りがあった」
すると緑川は横を向いて小さく溜息をついた。
「赤石君だよ」
私は思わず息をのんだ。さっきの会った時の姿を思い出すと現実感が増した。
「彼を一緒に連れて行きたくなったんだ。仲井戸は反対した。もっとも仲井戸の場合は嫉妬からだと思うけど。木崎さんの後継者にまでなった自分を差し置いて彼の名前を挙げたんだからね」
「アンタはどうなの?」
私は口に出した後、しまったと後悔した。緑川は腕組みをして肩をすくめた。
「僕は木崎さんの願いを叶えたい。それだけ」
諦念と自嘲が混ざったような複雑な笑顔を向ける。私は答えることができない。
「だから、赤石を誘うために一度、木崎さんの記憶を消すためにクリームの力を借りたんだ。それが彼女の望みだったから。まっさらな自分で彼に会いたいって……」
「木崎のそんな作戦の為に犠牲になったの?」
好きな相手に自分の欲望を知られたくないから、緑川にイケメンクリームを使わせて、一時的に記憶喪失になったわけ? 単なる我ままでしょ、それ……
緑川は頬を引きつらせて、頬を指でなぞりながら、困ったような顔をした。
「ははは。僕なんかこれからの人生細々と生きてもたかがしれてる。主役にはなれないって知ってるんだ。だったらせめて好きな人の役に立とうって思った」
コイツ、とことん脇役根性が染み込んでるんだな。
「アンタ、自分の人生なんだと思っているんだ」
「木崎さんの踏み台……だよ」
いくら惚れた弱みとはいえ、自分がイケメンになれるけど、願いを叶えるごとに顔が変わっていくリスクを背負うなんて……と考えて止めた。
私も似たような時期あった。さすがにイケメンクリームはなかったから、好きな人の為にお金貸したりとか暴力振るわれたりだったけど。
だから私は怒鳴ってやりたい衝動に駆られたけど、すぐに治まってしまった。
次回更新は1時間後。(100%)
録筆ですから。(しつこい)