2/12 20:55 『永遠なるもの』
今回のコメント。
えーっと、メモが散乱しています。
誰か助けてください。
書いたはずの紙が見つかりません。
ファミレスにおいてきた?
いやいや、最後確かめたはず。
くそう。どこにあるんだYO!
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その後は二人とも無言で歩いた。やがて、緑川のマンションが見えてくる。いつもなら反省会をするところ。だけど、だけど、そんな気持にはなれなかった。私がマンションを素通りすると緑川の声が背後から聞こえた。
「あれ? 今日は寄ってかないの?」
私は立ち止まったけど、振り向かなかった。
「今日は帰る……」
「怒ってるの?」
「怒ってる……でも、それはアンタや真美ちゃんにじゃない」
何も答えられない自分に怒っているんだから。私は早足で歩き始めた。
思い出しそうになる思い出を振り払うように。
赤石が木崎に夢中になり、私が嫉妬していた頃、あの時はまだ良かった。無視されたりとかあったけど、赤石を一緒に練習しているという喜びがあったから。実際「木崎由貴を泣かす会」の時は普段木崎と会っているだけに、赤石は練習も少しずつ顔を出すようになっていた。
しかし、木崎が転校してから、赤石は野球部を辞めてしまった。私は何のために野球をやっているかよく分からなくなる。私のモチベーションも下がり、少し練習をサボりがちになった。
父親はそんな私が野球を辞める事を許さなかった。無理やり練習に連れて行かれたりもした。私は泣きながら母親に行きたくないと訴えたけど、聞き入れてもらえなかった。嫌々野球をすることになった。
でも、ある事に気づいた。練習をするうちに父親が喜んでくれる顔が多くなる。時々だけど褒めてもくれた。私は徐々に野球へのモチベーションが戻りつつあった。赤石から父親という動機が代わっただけだった。
その頃から、父と母は良く喧嘩をするようになった。いつも発端は私の野球の話から。すぐに別の話へ変わるのだけれど、私は自分の責任のように感じた。やがて、二人の言い争いが始まるとすぐに私は家から飛び出し、あの公園に行くようになった。
ベンチに座りながら私は悲しい気持を落ち着かせた。そして終った頃を見計らって家に帰る。
「ごめんね。ごめんね」って別々の部屋にいる二人に笑顔で話しかけた。二人は決まって一瞬バツの悪そうな顔をした後、頭を撫でてくれた。私がニコニコしていれば、二人はきっと仲良くなってくれるんだと思った。
結局、二人は別れてしまった。小学生の卒業間近のことだ。当時卒業式で急に私の苗字が変わったことに皆が驚いたのを鮮明に覚えている。
両親からこれから離れ離れで暮すと聞いた時も私は笑ってた。笑ってたらきっとまた仲直りするんだと思っていた……というより、仲直りして欲しかった。だけど、両親には私が離婚に理解を示してくれたものだと思ったらしい。
母親と家を出て行く時でさえ、笑っていた。だけどもうその頃には笑う以外の表情ができなくなっていたのだ。今更泣いてわめいたって事実は変わらないのだという現実が私に他の感情を表すことを許さなかった。
相手だけじゃない、自分にも暗示をかけ始めたんだ「私は大丈夫って」。
今思い出せば、作り笑いの根源がここにあったのだ。
次回の更新は1~2時間後(80%)
まだ高いね。