2/10 1:32 『永遠なるもの』
今回のコメント。
平日はやはりこれぐらいしか書けないなぁ。
よっぽど調子よければいいけど、今はどっちらかというと下降気味な気がする。
……が、んなこと考えてないで書けよって気もするので、進み続ける!
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ゆっくりと事実を確かめた。
「ねえ、真実ちゃん。お母さんは今も苛められてるの?」
すると真実ちゃんはすぐに首を振った。私は内心ホッとした。どうやら警察沙汰になることはないようだ。
それにしても真実ちゃんの秘密に一気に近づいていく。急に距離が縮まったので、正直私は戸惑った。それだけ彼女は思いを胸の中にしまっていたのかもしれない。
真実ちゃんは話を止めようとはしなかった。
「おとーさんとおかーさんは別れたんだって。もう一緒に暮らす事はないんだって」
私の心臓が一つ大きく鼓動した。一瞬視界が狭まった気がする。私は額に手を当てて俯いた。閉じていた蓋から少しだけ顔を出す何か……
「大丈夫?」
覗き込む真実ちゃんが見えた。私は今出来る精一杯の笑みを向けた。すると真実ちゃんも同じような笑みを向ける。触れてはいけない一歩手前で笑いあう私達。
だけど現状を確かめないと。私は心の中では極めて事務的に、言葉では優しく子共に向けて話を続けた。
「それで今、真実ちゃん家はどうなってるの?」
ボールをもったまま真実ちゃんは俯いた。
「おかーさん、夜に働いているからお昼まで寝てるの。だから私、ここにいるの」
睡眠の邪魔にならないように、もしくは追い出されてここに来ているのかもしれない。
俯いていた真実ちゃんが顔を上げて、私に笑いかける。だけど作り笑いだってすぐ分かった。自分にも覚えがあるから。
「だからね。真実ね、おかーさんに大丈夫だよって言いたくて、サンタさんにお願いするの」
まさか、この状況で願いを聞けるとは思わなかった。私は慎重にならないようになるべく暢気に言った。
「そうなんだ。真実ちゃん。明日クリスマスイブだけど、ここに来るの~」
「うん。だってサンタさんがくるって緑のおじちゃんが言ってたもん」
そこまで手を回していたか。っていうか緑のおじちゃんって……
私は調子を合わせるべく、わざと驚いてみせた。
「ええっ!? サンタさん来るの? じゃあ、私も来ようかな~」
「うん。お姉ちゃんもお願いをかなえて貰えればいいと思うよ」
ここだ! と決めて私は言葉を継いだ。
「そうするよ。じゃあ、何をプレゼントしてもらおうかな~。真実ちゃんは何をお願いするの~」
すると真実ちゃんは目を丸くして私を見つめる。ホンの少しの時間だろうけど、長時間に感じた。
そして、彼女の口が開いて願いを答える。
「笑顔だよ」
私の胸を何かが締め付けた。
真実ちゃんは、ボールを弄びながら、笑顔で言った。
「いつも笑っていられるようにしてもらえるの」
今日はここまで!