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2/9 2:00 『永遠なるもの』

今回のコメント。


この回は僕が仕事で後輩を教えていた時の話が元になっています。

似たようなことがあって、「別に僕が教えなくてもよかったじゃん」って、やさぐれたのを覚えています。



***********************************



「……脇役のクセに言うじゃないの」

「僕は脇役じゃないよ。相変らずのエキストラだったよ。でも、ここ数日間、僕に役柄や台詞を与えてくれたのは大木さんなんだ」


『つーか、あんた脇役でもなんでもないわ。エキストラだよ。台詞もない通行人程度なんだよ!』


 真美ちゃんへの作戦を考える直前に私が緑川に罵った言葉だ。コイツはやっぱりこの言葉を覚えていて、自分なりに克服しようと頑張っていたってことなのかな。


 私は横を向いていた顔を緑川へと戻す。するとそこには真っ直ぐに私を見る緑川がいた。不細工な顔なんだけど、少しだけ眩かった。


「大木さんがあんなにも熱心に打ち合わせしてくれたから、勇気をもてたんだ。応えようと思ったんだ」


 私は口を挟めない。「そんなことないよ」とも言えない。言葉が出ない。

 緑川は緊張しながら笑ってた。ぎこちなかったけど、それは心からの笑顔にみえた。


「だから、ちゃんと大木さんに言いたいんだ。ありがとうって」


 甘えてた。助けているフリして緑川という存在に助けてもらってた。

 だって『ありがとう』がこんなに嬉しいんだもん。


「あれ……」


 また視界がぼやけてきた。口はマスクで見えないけど、目は誤魔化せない。私は緑川から顔を背けた。


「どうしたの? 大木さん」

「こっち来るなっ!」

「ええ?」


 私は何度も何度も涙を拭ったけど、止まらなかった。


「真実ちゃんと、ボール遊びしてくる」


 私は声を震わせながら、立ち上がり、真美ちゃんへと向かい歩き出した。

 真美ちゃんは私の顔を見て少し驚いたように目を開いたが、すぐに笑いかけてくれた。



今日はここまで!

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