2/6 22:45 『永遠なるもの』
今回のコメント。
ちょっと冷静に考えてみると、あと二週間ぐらいかかりそうです。
後もう少しだけ『永遠なるもの』にお付き合いください。
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そして三日目になった。今日なんとかしないと明日の「お願いを聞く」には到底たどり着かない。
私はいつもより早く緑川の家に行き、打ち合わせをした。だけど、あまりに打ち合わせに熱中しすぎて少し時間が過ぎてしまった。
急いで公園へ行く道すがら、二人とも無言で走る。私は頭の中で何度も場面を想定した。やがて公園が見えてくる。遊具の配置も木々の生え具合も何一つ変わらない。いつもの場所。
唯一変わった事と言えば、ベンチに誰も座っていなかったってこと。
「そんな……」私は自然と呟いていた。
「こんな日もあるよ。約束していたわけじゃないし」
「はあ?」
「……なんでもありません」
緑川を睨みつけて無意味に怯えさせる。
確かに毎日約束してたわけじゃないので、いないこともあるだろう。だけど、なんで、よりによってこんな日に……うかつだった。
私が現役だったら、こんなミスはしなかったはず。確認リスト作って忘れないような努力をしたはずだ。一生懸命頑張って立てた計画が無駄になった瞬間だった。
頭によぎる少し前の事。会社に泊まり込んで少し仮眠を取ろうとソファで寝てた自分。目が覚める。誰もいないオフィスが急に広く感じた。目の前にはやりかけの仕事。明日が締め切り。誰も手伝ってくれるわけ無いので、同じ場所で止まっている。
まだやらなきゃと思ってソファから起き上がる。瞬間的に景色が揺れた。地震ではなく自分が揺れる。つかまりどころがなく倒れてしまう。そのまま意識を失った。気づいたら病院だった。
誰もいない公園が、あのときのオフィスと重なったのだ。
私がちゃんと体調管理してたら締め切りに間に合った。
真美ちゃんに確認を取ってたら、もっと計画を早めたのに。
「ごめん。私のせいだ」
口から出た言葉にはっとする。ゆっくりと緑川を見た。
「しょうがないよ。明日もまた来よう」
緑川は私を見て微笑んでいる。瞬間的に私は緑川の足を蹴飛ばした。怒ってくれたほうがましだ!
そのまま私は公園を立ち去った。緑川が急いで付いて来る。なんだかそれだけでも腹が立った。八つ当たりだ。分かってるよそんなこと。
次回更新は1~2時間後(65%)