2/5 17:50 『永遠なるもの』
今回のコメント。
これに近いやり取りはした事があります。
新人の子って仕事の内容もわからないので、説明したって最初はポカーンとしてますよ。
その辺りを分かりつつ、あえて理由も説明しているんでけど、余計にわからなくなるという悪循環……
誰か上手い説明のしかた教えて!
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「とにかくまず納期が二十三日でしょ?」
「なんで?」
口をポカンと開けて私を見ている。コイツ、わざと言っているのか? と疑問になるぐらい間抜けな質問だ。
「アンタね。この目的は真実ちゃんと仲良くする事もそうだけど、最終目的は彼女の願いを聞くことなんでしょ? クリスマスに願いの成就を実行するとしたら、最悪二十三日までに聞かないとだめでしょうが」
「おお……」
膝をうって頷く緑川に、ちょっとイラッときた。
「あのね、願いを聞くためには二十二日までには仲良くならないといけない。ここで言う仲良くなるは二人で雑談が出来るぐらいのレベルとします」
「レベル高い!」
「高くないっ! こんなのすぐできるレベルよ。だいたいアンタはイケメンの時、話をしていたんだから趣味趣向が大体分かるでしょ」
「確かに……」
一応は納得しながらも不安げな表情の緑川に私はため息がでそうになる。ここは不安を解消してあげないと。私は顔を近づけ、少し優しい口調で話を続けた。
「だから、本当はできるんだって。アンタがちょっと臆病なだけ。大丈夫」
すると、緑川は口をあけたまま小刻みに震えていた。なにやってんのコイツ。
「……大木さん」
「なによ」
緑川も私に顔を寄せ、真剣な表情で返答した。
「なんかカッコいいです。大木姉さんって呼んでいいですか?」
私は一瞬、言葉に詰まってしまった。慌てて言葉を探す。
「却下」
「そんなー」
緑川はゴールを逃したストライカーのように天を仰いだ。私は心のどこかで嬉しかったのかもしれない。仕事してたときもこんな反応がもらえたらな、と一瞬でも思ったからだ。
別に尊敬されたいとかそういうんじゃなくて、自分の考えに頷いたり反応してくれる、それだけで楽しくなったのだ。
私は浮かれそうになる心を自制した。
「とにかく、今日が二十日なんだから時間がないの。エピソード詰め込まなきゃ思い出が出来ないの。ちなみに進捗状況によって内容変更するから、真実ちゃんと遊んだ後はアンタの家でミーティングね」
「なんだか、本格的だね。……分かりました。エピソードを重ねる、つまりは美少女ゲームの要領だね」
「……なんか、私の案が馬鹿にされた気がする」
「ええっ!? なぜ?」
まったく。コイツはだからモテないんだって気づけよ。
とにかく、作戦は実行されることになった。
次回更新は1~2時間後です!