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2/5 14:51 『永遠なるもの』

今回のコメント。


急にシュレーディンガーの猫の話が出てきますが気にしないでください。

勢いで書いているだけなので。しかも、シュレーディンガー直接関係ないし。



***********************************



「分かってくれたなら、僕の気持ち分かるでしょ?」

「本当に卑屈な男、上なんか見たってキリがないでしょ」


 緑川は立ち上がりながら口を尖らせた。


「でも、僕が頑張ったって勝てない相手はいるよ……」

「アンタ何になりたいの? 男の頂点にでも立たないと自信が持てないわけ? んな考えだから、木崎にも相手にされないのよ」


 一重の目を大きく開けて動きを止めた。最後の言葉が相当堪えたらしい。私は軽く頬をたたきながら話を続けた。


「ごめん言い過ぎた。だけど、今言ったのは本気だよ。男の頂点になりたいの? 好きな人の頂点になりたいの?」

「僕は……」

「うん」


 根性を見せろ、好きな人の頂点と言え! と私は心の中で叫んだ。

 緑川は腕組みをして上を向いた。考えることか!


「僕は……どっちもいいや」

「はぁ~~?」


 どっちも選ばないってどういうこと? 馬鹿なの?

 腕組みを未だにしながら緑川が言葉を継ぐ。


「好きな人に笑っていて欲しいんだ。僕が一番じゃなくても」


 心底ため息が出てきた。私がため息をついた途端、「え~っ」とか言う緑川の声がした。


「アンタ、きっと利用されるだけ利用されて捨てられるわ。いや、相手には捨てるという意識すらないかも」


 嫌味を言ったつもりだった。でも、緑川は笑ってた。どちらかと言えば苦笑いだけど。


「良いんだよ。彼女が幸せだったら」

「馬鹿じゃないの? 馬鹿じゃないの? 馬鹿じゃないの?」

「ええ~? 三回言った?」


 本当に間抜けな返答。


 子供に相手にされなくて、主役になれないと僻み、木崎に対しては主役じゃなくても良いと言う。この矛盾わかってるのかな、コイツ。


 いつも気持ちが揺れて一定にならない存在。自分か好きな人が覗くまで定まらない。とんだシュレーディンガーの猫ね。……まぁ、それが人間か。


「わかった。今はそれでも良いから。じゃあせめて真実ちゃんを幸せにしなさいよ」

「どういこと?」

「木崎の事は置いておいて、まずは真実ちゃんと仲良くしなさい。その努力をしなさい。願いを叶えるから彼女が幸せにできるなんてありえないから」

「でも、それは大木さんが……」

「黙れ。仲良くしないと私だって彼女に願いを聞いてあげない」

「そんな~」


 すがるように見つめてくる緑川に構わず、私は腰に手を当て胸を張った。


「別に私が聞かなくてもあんたが仲良くすれば済むことでしょうが」

「だけど……」


 本当に踏ん切りがつかない男。まるで少し前の自分を見てるよう。


「わかったら、明日からさっそくチャレンジよ!」


 力いっぱい緑川の背中を叩いた。自分を励ますように。

 息を詰まらせながら痛みに耐える姿を見て、私は笑った。

 大丈夫だ。嫌な事思い出してもまだ笑えるや。今はできる事をやろうじゃないの。





更新は1~2時間後(70%)

まぁまぁの数字

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