2/4 1:33 『永遠なるもの』
今回のコメント
考えてみたら、自分の作品って男女でなにかを解決する話が多い気がした。
たまには同性感の強い作品も作ってみたいなぁ。(薔薇・百合とかじゃなくて)
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「いいよ。ここにいたほうが安全かもしれない。知り合いばかりだしね。やっぱり、あの時無理やりにでも家に返しておくべきだった」
「あの……」
私は何て言っていいのだろうか、分からない。無理やり付いてきたのは私だ。
「僕と離れて、彼らと合流するといい」
俯く私に彼の少し沈んだ声が聞こえた。同時に少し前の会話が脳裏をよぎる。
『ただし、何があっても僕から離れない事、それに驚かない事』
『ありがとう。驚かない事は約束できないかもしれないけど、離れないよ』
私は『離れない』と約束した。どうでもいい口約束かもしれない。
だけど……私の中で裏切れない思いがよぎる。
それは今まで私と関わった人たちのことがあったから。
皆結局は離れていった。本気で信じたって仕方がない。
ここは笑って誤魔化そう。そう思った。
じゃあ私はどうなの。
簡単に離れちゃうの?
人は勝手なものだと思った私自身が一番勝手じゃないの?
――私は、「私」も「関わった相手」も裏切りたくない。
「じゃあ、僕は行くね」
三田が歩き出そうとした時、私は手を伸ばした。
それは決定的な瞬間になったのかもしれない。彼の腕をしっかりと掴んだ。
「私も行く」
「大木さん?」
「離れないっていったから。それは嘘じゃないから」
顔が変わったからってなんなんだ。さっきから私に対する態度はまるで変わってないじゃないか。私をかばって引き寄せ、前に出てくれた。彼は約束を守って私を離さないで、連れて行ってくれようとしたじゃないか。
だったら、私も答えなきゃ。非常事態? 確かにそうだけど。非常事態こそ、大切にしなきゃいけないことがある気がする。
私は顔を上げて自然に笑いかけていた。
「私を連れて行って」
「……分かった」
彼は私の腕を力強く握って走り出した。
私も負けないように走る。
今日はここまで。
(無理はしない)