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1/29 22:05 『永遠なるもの』

今回のコメント。


仕事していて、上司が携帯電話で会話しようと会議室に入るのですが、室内に誰もいないせいか、声が響いてきます。

丸聞こえです……



***********************************



「じゃあ、お願いするね」

「だから、アナタも一緒の時だけね」

「大丈夫だよ。真実ちゃん、人見知りなのに、大木さんには懐いてたよ」


 公園に一人きりで遊びに来ている女の子。思い当たる子が二人いる。

 ……一人目は木崎のこと。赤石と寄り添っている彼女を思い出す。小学生の事なのにね。なんで思い出すんだろう。

 そして二人目は……


「……だから嫌なの」

「え? なにか言った?」

「なんでもない。とにかく、人見知りなら、アナタが絶対ないと」

「僕は……その……」


 わりとハキハキと答えていた彼が言葉を濁した。なんだか引っ掛かる感じだったけど、私は私で余裕がなかったので、そのままにした。

 曖昧に笑いかけた彼に私も曖昧に笑いかける。なんだか昨日までの自分に戻ったようだった。


 二人が黙ってしまった時、タイミングよく彼の携帯電話の着信音が室内に鳴り響く。彼は「ごめん」と一言言って携帯電話を持ち部屋の奥へ消えていった。私は一人になった部屋で食事を始める。冷めたせいか少し味が落ちた気がした。


 部屋の奥から時折大きな声がする。上手くは聞き取れないけど「大丈夫だ」とか「必ず戻れる」だの言っていた気がする。さすがに「死にはしない」と聞こえたのは空耳だと思うけど。


 電話から戻ってきた彼は険しい顔をしていた。私は直接詮索することない。別にそこまでの関係でもないし。


 結局、真実ちゃんの話はそれ以上なかった。私はなんだか消化不良な感じになった。


 お昼が過ぎ、服が乾いた事を確認すると、私は彼の部屋を出る事にした。

 改めてお礼を言って頭を下げた。彼は「別にいいよ」と言ったものの、後でまたお礼として菓子折りの一つでももってこようと考えていた。


 彼との関係も続けたいと思ったし。別に恋愛どうこうではなくて、まずはお世話になった人として、人付き合いをしたかった。それだけ私の周りにはもう人がいなかったということだろう。何度もお辞儀をしながら部屋を出る。ドアが閉まった後、鍵をした音がする。なんだかそれだけで切なくなった。



次回の更新は1~2時間後(70%)

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