1/29 9:22 『永遠なるもの』
今回のコメント。
実はまだ書きたいことの3分の1ぐらいしか達していない。
むむむ。なんとか先に進まなければ。
それにしてもこんなに朝っぱらか更新することって今までなかった気がする。
(ずっと起きててっていうのはあったと思うけど)
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「違う、違う、違う、違う」
何回言うんだと思いながら、男を睨むのをやめないでいると、部屋の奥の通路を指差した。よくある2LDKの間取りなのできっと奥(部屋全体から見ると私が奥なんだろうけど)にはトイレやお風呂があるんだろう。昨日のうっすらとした記憶を手繰り寄せる。
「今、洗濯してるから」
「なんで?」
「いや、それは君が……」
私はさらに睨みを利かせた。男は下唇を少し出して言いにくそうにしていた。それにしても昨日の延長線上だろうか、今日はスムーズに感情がでてくる。色々と蓋を開けたせいかな。
「君が嘔吐したから」
「……え?」
急に自己嫌悪が襲ってくる。昨日記憶を失くす寸前の出来事。それは叫んだことではなかった。人にぶつかり、抱きついて嘔吐して、部屋で介抱してもらい、目覚めの飲み物までもらった事。そしてこの男は私に逆切れされている。
私は顔が真っ赤になったと分かるぐらいに頭がカッカしてきた。ここは笑うに笑えないけど、自然に顔がニヤけてきて、とっさに下を向いた。言葉に詰まってしまう。私、なにをニヤニヤと誤魔化しているの! 早くお礼を言いなさい! と心の中で言うけど、できるわけがない。
「勝手に自分の部屋に運んだのも服を脱がせたことは本当だし、誤解されても仕方ない。女性にそういうことするのは間違いでした。つい、知っている人に似てたものだから。ホント、ごめんなさい」
本来お礼を言う私に代わって、彼は頭を下げた。私は上手く反応できずに立ち尽くす。逆切れされたのに態度を変えずに私に接してくれた。昨日の木崎とも同じような場面があった気がする。でも、昨日とは状況が違う。完全に私に非がある。
「こ、こちらこそごめんなさい」
私はすぐに頭を下げた。
話を聞けば、彼も料亭に用事があって入ろうとしたところで、私とぶつかったらしい。そして嘔吐、意識混沌、足元おぼつかない姿をさらしたので、緊急避難としてこの部屋につれてこられた。どうやら上のホックも私が苦しいからと外させたという。しかも、私をベッドに寝かせたのに、途中でソファに入り込んで寝てたというのが真実だった。
聞けば聞くほど私は赤面し、何度も頭を下げた。彼は「酔ってたんだから仕方ないよ」と返答してくれた。
少なくなったミルクを飲むフリをしながら、彼を観察する。一人暮らしなのかな。私を連れこんだぐらいだから一人なんだろう。歳は……私と変わらないぐらいかな。腕時計を見ると結構高そうなものをつけている。部屋はシンプルで必要なものしか置いていない。部屋の中も綺麗で几帳面なのかもしれない。色々聞いてみたいところだけど、さすがに不躾なのでやめた。
彼は私に対してなにも聞いてこなかった。本当だったら色々聞いてみたいところだろう。人は助けるけど、余計な詮索はしない。少しだけ彼の思いやりを感じた。
お互いが黙ってしまい、静かな時間が続いた。だけど、私にはそれが都合良かった。さすがに彼は間が持たなかったのか、テレビをつけたけど。
それから一時間ほどたったころだろうか、彼は腕時計を何度か見て、時間を気にしている様子だった。約束の時間があるのかな? だったら早くここから出ないと。私はソファから腰を上げようとした。
しかし、彼の方が先に腰を上げて、私に言った。
次回の更新は1~2時間後(85%)