1/27 16:26 『永遠なるもの』
今回のコメント。
今回の5から始めなかった理由の一つに「クリスマスは強盗と」っていう自分の短編の存在があります。
あの短編も一人の寂しさから始まります。
当初の展開もそっくりでした。
こりゃいかん。と思って一端保留にしたのでした。
それだけあの短編が僕の中で「クリスマスの小説」の決定版だったからです。
(想像力貧困で申し訳ない)
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一ヵ月後、私の部屋で友人のささやかな送別会を三人で行なった。
由実の彼氏、木根君はメガネをかけ、体型はひょろっとしてて、頼りなさげに見える。実際に話すと言葉遣いも丁寧で、優しさが伝わってきた。少し緊張した態度も良い人感が出ている。
由実が女将で、それについていく優しい旦那さんみたいなイメージがすぐに湧いた。行動型の由実にそれを包み込む木根君はきっと良い夫婦になるに違いないと思った。
私と由実の昔話から、木根君と由実ののろけ話まで、色々な話をした。私は笑顔で対応した。それ以外の表情をどう表現して良いか分からなかったのだ。これは会社時代からのクセなんだと思う。
話が一段落して少し静かになった時、由実が机の上にあった手紙を見つけた。
「あれ? これ同窓会の手紙じゃん」
数日前に届いた小学生四年生時の同窓会について出欠確認の手紙だった。独り暮らしをしていたここへどうやって届いたのか不思議に思ったけど、少し調べれば分かることかと気にせず忘れていた。
由実が手紙の裏表をみて、私へ視線を向けた。
「でも、美佳って大木って苗字だっけ?」
現在、私は榊という苗字だった。中学の時から今の苗字なので由実が知らないのは無理がない。
「うん。父方の苗字」
「そっか……小学生の同窓会だから、知らない人が多いのかもね」
由実はバツが悪かったのか、俯いて手紙を見つめた。すると何かに気づいて顔を上げた。
「あれ? 返事は欠席?」
「そのつもり。今更って気もするし」
本当は行ってみたい気持ちが半分ぐらいあった。だけど、どこかで自分を止めるもう一人の自分がいた。今の自分で本当に皆に会えるの? って。
私の気持とは別に由実は楽しそうに手紙を振りながら、言葉を返した。
「行ってきなよ。最近、部屋に閉じ籠りっきりでしょ」
「でもさ。今無職だし、肩身狭いよ」
「大丈夫だって。色々な人が来てるよ。きっと。それに……」
「なに?」
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