1/18 1:58 『永遠なるもの』
今回のコメント。
月曜日、火曜日とここまで順調に書いたのって久しぶりのような気がするなぁ。
日曜日の反動で月曜日書かなかったり、月曜日の反動で火曜日書かなかったりしたもんなぁ。
理想は毎日コンスタントに書くことなんだけどね。
あ~、明日もこれぐらいは書けますように。
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すると木崎は俯いて、やや上目遣いで赤石を見つめた。
「……ガッカリした?」
「なんで?」
「私が昔と変わってたから」
自分を卑下しようとする木崎を赤石は手で制した。
「木崎は良い変化だと思う。いつも独りきりだったお前が、社員を従えて社長だもんな」
すると木崎は恥ずかしがって車窓から外へと視線を向け、独り言のように返答した。
「私ね。今の会社を立ち上げるまでは独りで何とかできるって思ってた。でもね、独りじゃあ限界があって色々な人に資金面や実働面で助けてもらった。皆が私の理想に集まって、それぞれの夢も持ち寄って組織を作って、会社を成立たせている。すごいと思わない? きっと私一人じゃあなにもできなかった場面もたくさんあったと思う」
簡単ではあったが、木崎の二十年の充実振りが赤石にも伝わった。確かな成長を感じさせるには十分だった。
「わかったの。『人は独りじゃ生きていけない』って。だけど……社長業をしているとね。なんだか緊張の連続で、人にも強く当たっちゃって……最近、特に私自身が孤立しているように思えて……」
さっき会社へ電話していたのを見ると、かなりワンマンで最初は引っ張っていったのかもしれない。
木崎自身は家族のように思っている社員が、相手からすると畏怖の存在でしかないこともあるだろう。企業のトップともなればなおさらだ。孤独を深めていても不思議じゃない。と赤石は自分なりに分析した。
「そんな時なの。同窓会のお知らせが来たのは。チャンスだと思って」
「チャンス?」
いつの間にか車窓から赤石へと視線を移していた。赤石は俯いて聞いていたので、最初は気づかなかったが、返答するついでに顔を上げ、視線がぶつかる。
木崎は瞳を細め柔らかい表情で笑いかけた。
「赤石君にもう一度会えるって」
「お前……」
「ごめんね、こんな打算で貴方に会って」
「いや。少し驚いたけど、木崎は悪くない。それにお前は本質は変わってないよ。分かる」
「そうやって私のことをわかったようなフリするの相変わらず上手いね」
木崎が小さく息をはいた。赤石は腕組みをして「そうかなぁ……」と呟いた。それを聞いた彼女は「ぷっ」と、ふき出した。
「今から緊張しなきゃいけないのに、ごめんね。久しぶりに愚痴言えたし、心から笑えたし。やっぱり赤石君と会えてよかったよ」
「なんだか納得いかないなぁ……」
赤石が口を尖らせて答えたころ、タクシーは現場に到着した。
二人の表情に再び緊張が走った。
何とか乗りきった!
今日はここまで!