1/16 2:58 『永遠なるもの』
今回のコメント。
これって短編のつもりなのに、文章量を通算したら「テリプリ」なみになりそうなんだけど。
大丈夫なのかな……
『トロフィー』にいい加減戻りたいんだけど。
ただ、どちらも中途半端には出来ないからなぁ。
頑張りますっ!(あっ、無理やり締めた)
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赤石は次の文章を見て、背中から全身に向けて止めれれない震えが駆け巡った。一度だけ歯が震えて鳴ってしまうほどだった。
『人……の形を崩した生物のようなものが何対もいたのだ』
応接室に存在する、数体のよく分からない生物。
『筋肉が捻じ曲がり、関節が変な方向に曲がっている。口は裂け、目はむき出し、体毛が体中覆い真っ黒な体。人のような形をした化け物だった』
一体ではないのだ。数体だ。おそらく一斉に樅山を見たに違いない。
『それは間違いなく先輩が写真を撮ってきた肉片に似ていた。ただ違うのは、彼等が呼吸をしていたことだ』
こともあろうに赤石は興奮していた。思わぬところで自分の正しさが証明されたのだ。同時に幼い頃みた怪物が本当に存在していたことも高揚する一因だった。
『瞬間的に殺されると思った俺は緑川を振り切って逃げ出した』
「先輩、私はどうしたら……」
星野が震える声で赤石に問いかける。腕を掴んだ手も小刻みに揺れ、赤石に少し体重を預けた。赤石は背中を二度ほど軽く叩き、慰めるしか方法が無かった。
『俺はわかったんだ。バイト内容がイケメンクリームを塗って幼女の家に行く、まるでサンタのような仕事。これは怪物を各家に送り込んで、大量殺戮を行なう計画に違いないと考えた。考えの飛躍だろうか? いや、あの化け物達をみてバイト内容を加味するとこれしか思いつかない。そして俺も徐々にあの怪物に……なっていくのか?』
バイト内容を考えると確かに行き着いてもおかしくない話だ。だが、メリットが分からない。社会を混乱させることが目的だろうか。
だとしたら、仲井戸はどんでもない悪人ということになる。そして自分もその片棒を担ごうとしていた。赤石は自然に苦笑いを浮かべていた。
『いや。タダでは死なない。せめて緑川という人物を捕まえて全てを自白させるんだ。俺にはそれしか道が残っていない。ここ数日、緑川を尾行してチャンスを狙っている。数日後、おそらく運がめぐってくるだろう』
この数日後っていうのが今日だということになる。緑川を見つけ出せば、どうじに樅山も確保できるということか。
ファイルは最後にこう締めくくられていた。
『これを夜中に会社に進入してファイルを保存しておく。先輩と星野がこれを見つけて仇をうってくれます様に』
ファイルと閉じると、しばらく赤石と星野は黙り込んだ。どちらも心の整理が必要な事柄だった。だけど時間は待ってくれない。決断の時は迫っていた。
「星野、質問していいか?」
するとゆっくり顔を上げた星野は瞳を潤ませ赤石をみた。
「……はい」
「顔が変わっていても樅山と今までどおり付き合ってくれるか?」
赤石の問いに、星野は答えられない。
数秒後、やっとの思いで口を開いた。
「会って、話をして判断します。あの人を探しましょう」
「決まりだ。だけど、お前はここにいろ」
「樅山から連絡がないとも限らないからな。それに……」
『変わり果てた姿だったらお前が耐えれないかもしれない』と言いかけて止めた。雰囲気で察した星野は黙って頷いた。
それを合図に赤石は席を勢いよく立ち上がった。
今日はここまで!
そこそこ、頑張った!(自分で褒めてる)




