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12/25 19:05 『永遠なるもの』⑦

今回のコメント。


「もうすぐ終ります」とか言いつつ順調に伸びている悪夢!

いや、この話、こんなんい引っ張るものじゃなかったんですけどね!


クリマス中には絶対終わらない気がしてきた……



***********************************



 次の日、早速僕たちは木崎さんを呼び出した。最初は肩を突き飛ばす程度のことだったけど、やがて体を殴ったり蹴ったりするようになった。突き飛ばされ転ぶ木崎さんを見て、僕は助け起こしたい気持ちが溢れくる。だけど、勇気がなくてできない。


 木崎さんは泣かなかった。

 唯一、顔を殴ろうとすると「顔だけは止めて」と言われ、皆は躊躇した。


 木崎さんを囲んでの暴力の後、僕たちは一切会話をしなくなった。皆疲れているようだった。最近、大木さんはたまにしか出てこない。仲井戸君も塾で忙しそうだった。木崎さんとの接触を終えると、すぐに帰っていく。


 僕と赤石君だけが残る事が多くなった。本当は僕も帰りたかった。木崎さんに暴力を振るうのは気が引けたし、全然本気を出していなかったから。皆、それは同じだった。赤石君を除いて。僕は帰るって言う勇気がなくてここにいるだけだった。


 だから赤石君が僕に声をかけてくれたときは本当に嬉しかった。


「お前も本当は帰りたいんだろ、帰れよ」

「え?」

「帰れよ!」

「ごめんなさい!」


 謝ったものの、僕は嬉しかった。辛い時間から開放された気がしたから。校門を出る頃には笑顔で走っていた。帰ったらゲームしよう!


 僕はウキウキしながら公園を通り過ぎた。するといつものように木崎さんがベンチに座っていた。僕は気になって立ち止まってしまう。それは木崎さんが誰かと話をしているようだったから。でも、目の前には誰もいなかった。


 僕はゆっくりと近づいた。でもすぐに気付かれ、木崎さんは僕へ顔を向けた。あいかわらずの笑顔だった。


「緑川君、どうしたの?」


 僕は何気なしに答えていた。


「さっき誰と話していたの?」

「内緒」


 最初にここで会ったときのように口元に指を当てていた。はにかみながら僕を見つめる木崎さんを見て一気に涙がでそうになった。


 僕は少しでも楽になりたかった。


「あの……ごめんなさい」

「なにが?」

「毎日イジメてごめんなさい!」


 木崎さんは僕を見つめたまま笑顔を向ける。黙ったまま時間が過ぎた。とっても長い時間に思えた。やっぱり許してもらえないよね……なんで僕はあんなことしちゃったんだろう。後悔だけがどんどんあふれてきた。


 我慢できそうになった時、木崎さんは笑顔のまま応えた。


「駄目だよ……謝ったりしちゃ」

「え?」

「赤石君に悪いでしょ?」


 僕はどこか、心の中を見られたような感じになって、あとずさりした。


「……ごめん」


 小さく返答して僕は駆け出した。

 次の日、赤石君にバレるんじゃないかと怖かったけど、バレることはなかった。




更新は1~2時間後(95%)


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