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今回のコメント
今日、喧嘩を売られた。
というより、挑戦状を叩き付けられた。
……といった物騒なものじゃなくて、楽しい喧嘩を売られた。
ちょっと乗ってみようかな。
そういう目的でお話を書くのは久しぶりだなぁ。
少し頭を捻らないと。
クリスマスにあわせて短編も1~2本考えているので、大丈夫なのだろうか?
うん、きっと大丈夫!(楽天的)
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「もうあんな態度とらないか?」
気のせいかちょっと声が近かったような……いや、今はそんなことよりちゃんと謝ろう。
「とりません。あとで高月先輩にも謝りに行きます」
『お前の態度は……美国が亜也に本当のことを話した後の態度と同じなんだよ』
きっとあの時の発言のことをいっているんだろうな。本当に酷い態度をとったと思う。滝川先輩にも迷惑をかけたなと反省しきりだ。
しかし、滝川先輩の返事は一言だった。
「違う」
「え?」
あんな態度で思い出されるのはこれだけのような気がする。僕が首を捻る。反応がなかったからなのか、やや慌てた声で言葉を継いだ。
「いや……それもそうだけど、違う」
「はい?」
「あんな態度っていうのは……」
僕の頭が混乱していく。高月先輩に対する態度の話は間違いなくしている。だけど、やっぱりもう一つ失礼な態度をとっているらしい。僕が腕組みしたところで襖が乱暴に開く。
「この鈍感っ!」
襖から姿を表したのは、黄色いパジャマを着た滝川先輩だった。いつものポニーテールが解かれ、肩より少し伸びた髪が小さく揺れている。
「た、滝川先輩っ!」
僕は襖近くにいたので、急に滝川先輩と至近距離になった。慌てて距離をとるために下がった。もちろんちゃんと謝るためだ。僕は頭を勢いよく下げた。
「さっきはすいませんでした!」
「もうそれはいい。それよりも、さっきの話だ」
「はあ……?」
滝川先輩が僕の肩を掴んで、下げた頭をあげる。少し困ったような八の字の眉で、僕を見つめていた。こんな先輩は中間テスト以来だ。僕から視線を動かさず、口を開いた。
「もうあんな態度をとらないか?」
さっきと同じ質問だった。だから僕の答えは同じだった。
「はいっ! この後で高月先輩に――」
「だから、違うって!」
「……違う?」
本当に意味が分からない。僕がよほど変な表情をしていたのだろう、滝川先輩は深いため息をついて下を向いた。なにか間違ったことを言ったのだろうか。
すると滝川先輩は顔を上げた。下を向いたせいだろうか、顔が少し赤い。
「お……お前が私に見せた、冷たい態度のことだよ」
「えっ?」
「少し怖かったんだからな……」
えええええっ! 滝川先輩はバツが悪くなったのか、横を向いてしまった。なんだか先輩の目尻が光っている。本当に怖かったって言うのか? あの滝川先輩が?
「本当にもう……三人の仲が壊れたのかと思ったんだからな」
……確かに考えてみると、先輩は普段の偉そうな態度は表面的なものだったな。僕の肩を掴んだ先輩の手は僅かに震えていた。僕は先輩の手をとって、握手をする。
「――なっ」
横を向いた先輩が慌てて僕を見た。僕は力強く握手をする。
「大丈夫です。もうあんな態度は取りませんから。一緒に頑張りましょう」
「お……おう」
滝川先輩は黙って俯いた。数秒後、先輩は手を離し、僕は背中を蹴られて、部屋に近づくなと追い出された。
滝川先輩の気持ちはやっぱりよくわからないが、許してもらえたようだ。
今日はここまで!