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12/10 2:04

今回のコメント


今日の夕食。


ソーセージ、大根、里芋、豚の細切れを煮たもの。


ごはん。


明太子。


以上!


以前どこかで書いたするけど、選挙編に出てくる美国進と御堂真理。


美国進→みくにすすむ→未来に進む

御堂真理→御道真理→道の真理→真理の道


っていう名づけプロセスです。


二人合わせて

「未来に進む、真理の道」になります。

甲斐斗や亜也を未来へと前進させるための道を開く様な役割を担えばいいなと思って名づけました。


果たして上手く行ってるかな?



***********************************



『高月さんは「それでも俺のことが好きだった」と告げてくれた。俺は気持ちはありがたいけど、気持ちは受け取れないと答えた』


 やっぱりという気持ちが僕を駆け巡る。二人に話をさせるとこういう結果になる事は分かっていたはずだ。頭の良い高月先輩なら、なおさら分かっていたはずだろう。美国だって結果を見越していたからこそ、まず自分の気持ちを伝えたのだから。


 だけど高月先輩はあえて告白した。これが先輩なりのけじめなのだろうか。


『正確に書くと「先輩であった貴方を尊敬していたし好きだった」と伝えてくれた。お前にとってはガッカリする結果かもしれないが、よく続きを読んで欲しい。高月さんの真剣な眼差しを見て、ようやく実感できた事がある。それは……皆同じだったってことだ』


 何が同じだと言うんだ。先輩と後輩では背負うものも違うし、思い出も違うんだろう? 先輩には配慮しろってさっき書いたよな。コイツの言っている事は無茶だ!

 まだまだ手紙は続いた。


『それは、たとえ片思いの繰り返しで、自分を見てくれなかったとしても、俺達はただひたすらに先輩を好きになってきたんだって所が同じなんだよ』


 やっぱり無茶苦茶なこじつけだ。共通点を見つけて仲間に仕立て上げる。よくある手だ。僕は騙されないぞ。僕だけは馬鹿な流れには乗らない。踏みとどまれ。


 ……あれ?

 なんで僕はなぜこんなにも否定したいのだろうか?


『俺だって同じだ。真理さんは結局俺の向こう側の誰かを見ている。寂しさに負けて俺を頼ってくれた時もあるけど、いなくなった奴にはやっぱり勝てない。この事実からは逃げられないし、誰にも代わりができないことだ』


 ほらみろよ。やっぱり代々の先輩達は昔の相手を忘れられずにいるじゃないか。しかも都合の良いときだけ、気があるフリして擦り寄ってくる。利用されているだけだ。美国だって分かっているじゃないか。


『本当に悔しくて、情けなくもなる。自分が道化にも感じるだろう』


 もうすっかり感じてるよ。僕が一生懸命になればなるほど虚しさだけしかないじゃないか。


『でもな。だからどうした』


 ……開き直りか? 開き直ったって、何も残らないんだぞ。


『俺は決めた。真理さんがどんなに先輩のことを思っていようが、関係ない。気持ちが俺に返って来なくてもいい。真理さんが幸せになれば。つまりは、部長の日記を楽しかったことで埋まればそれでいい。俺が日記部に入った動機は単純だった。お前はどうだ?』


 僕は……楽しい思い出を作る。日記部に入った動機のひとつだ。


 昔は部活動は楽しいだけで良かった。だけど今は違う。色々な事情がわかって、大切な人が出来て、やらなきゃいけない責任がのしかかって……今では少し変わってしまった。


 「楽しい思い出作り」だけから「大切な先輩達と楽しい思い出を作る」ことが今の動機になった。


『お前はなにも見返りがないからと言って、好きな人との関係を簡単に断ち切ってしまうのか? お前の気持ちとは何かと引き換えにできるものなのか?』


 見返りという言葉に僕はなぜかピンとこなかった。

 僕の「高月先輩を慕っている」気持ちは「先輩が僕の気持ちに応えてくれる」ことを前提に湧き上がったものだろうか?


 答えは簡単だ。「違う」


 僕が先輩の役に立ちたい、応援したいと思った理由は、実は明確に何かあったわけではなかった。


 一緒に戦った日々が僕の気持ちを固めていってくれたんだ。だから美国と高月先輩を二人きりで話をさせたいと思った。

 すべては高月先輩に笑って欲しくて。


 僕のたたずまいは、高月先輩からみれば、美国の代わりなのかもしれない。だけど僕の気持ちは僕のものだ。何かの代わりに成り立っているわけではない。

 そういうことだよな。


 だから高月先輩はあえて美国に気持ちを伝えたんだ。何者でもない、オリジナルの気持ちとして。身代わりでも偽者でもない、自分だけが持つ気持ち。


「私しか、君しか、持つことができない、一人一人のトロフィー。あったらいいね」


 たしか高月先輩は以前にそう言った。

 もしかして僕はトロフィーを捨てかけたのかもしれない。


 突然の真実の告白、状況の変化に僕は自分を忘れていた。身の丈以上の事を考え、一人揺れていた。周りの反応を気にしすぎていた。


 だけど、もう惑わされない。僕は僕でしかなかった。自分のやれる事は限られている。それを一つ一つこなしていこう。


 さしあたっては高月先輩を応援することだ。日記を充実させるために楽しく過ごすことだ。平光先生に対抗することでも、身代わりだと僻むことでもない。

 迷いの霧がどんどん晴れていく。最近、笑ってなかった気がする。


 僕は手紙を読み進める。いよいよ最後のまとめに入っていった。




更新は1~2時間後!

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