12/4 4:38
今回のコメント
風が強い。元々僕が住んでいる地域は冬は強烈な風が吹く。
山脈からの吹き降ろしが凄いのだ。
だけど、今日の風は生暖かかった。12月なのにねぇ……
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昼休みが後五分になり、購買部前にはまばらな人しかいなくなった。僕達は部室に戻るついでに宣伝をしながら歩いている。
なんだか僕はいつもより疲れてしまった。精神的な疲労が多いのだろう。徐々に前を歩く先輩二人から離されていく。僕は追いつこうという気力がなく、二人も気づかないのか、どんどん歩いていく。
もう、ちょっと、このままでいいや。なんかか自分が情けなくて笑えてくる。
その時、僕の背後から声が聞こえた。
「おーい、草弥君」
最初は空耳かなと思って、歩き続けた。この学校で僕の名前を呼ぶなんて先輩以外いありえないからだ。
「『草弥甲斐斗』ってタスキをかけているだけで、君は草弥くんじゃないの?」
確かに僕のことを読んでいるようだ。振り返って声の主を確かめる。すると僕は少しだけ驚くこになった。
「やっぱり君が草弥君だったんだね」
目の前にいたのは美国進だったからだ。僕が美国を上から下へと見つめる。こちらを認識しているってことは、コイツは平光先生に操作されずに……
「ほぼ初対面の人にジロジロ見られると照れるなぁ」
美国は眼鏡を押し上げながら、照れ笑いを浮かべている。勘違いだったか。僕は思わずため息をついてしまった。それを見て美国は眉をひそめる。
「ジロジロ見たって、俺にはそんな趣味はないぞ。草弥君」
「分かってる! そして僕も男色趣味はない!」
思わずツッコミを入れてしまった。コイツはリセットされても変な奴に違いないな。にしてもだ、声をかけてきたのはコイツからだ。警戒しないと。僕は睨みつける。
「そんな怒らなくてもいいじゃないか。実は頼まれごとをしてきたんだよ」
美国は制服のポケットに手を突っ込んで何かを探していた。しばらくして「あった」と声を出すと、ポケットから紙切れを取り出す。
「何だかよくわからないんだけど、朝気づいたらポケットに入っていたんだ。あんまり不思議だからとっておいたんだけど」
手に持った紙切れを僕に差し出す。受け取れというのだろうか。しかし、受け取るいわれはない。僕は紙と美国の顔を交互に見つめる。すると、美国は苦笑いをした。
更新は1~2時間後?