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11/23 0:31

今回のコメント


今日のごはん。

焼きそば。

漬物。



以上。(少なっ)



***********************************



 今日は三人揃って歩いている。特に会話はない。空元気だってそう長く続くものじゃない。滝川先輩もどこか険しい顔をしている。高月先輩は無表情で感情が読み取れない。僕は少し遅れて歩いている。きっと三者三様の気持ちを抱えているに違いない。


 二人が遠くに感じる。僕と違って長い間考える時間があったんだ。もう結論が出ているのかもしれない。開き直りなのか、どうかはわからないけど。


 僕が小さくため息をつこうとした瞬間、背中に強く叩かれた。


「痛っ!」

「おーっす! 今日も元気かね、甲斐斗」


 ひりひりした背中に一生懸命手を伸ばしながら、後ろを振り返ると、目の前には沙和が立っていた。なんだ、機嫌がもう直ったのか?


「お前なぁ……」


 僕はうらみたっぷりの視線を向ける。沙和は少しだけ舌をだして誤魔化す。


「なんかしょぼくれてたから活をいれました~」


 背中の痛みが引いていくと、代わって苛立ちが先行してきた。僕の気持ちも知らないで逆なでする様な行動をとるなんて……。


 黒くて重い感情が沸々と沸いてくる。ただいたずらに傷つけてやろうかと算段を始めようとする。駄目だ。沙和は悪気があってこんなことをしてるんじゃない。必死に抑える僕に、沙和は構うことなく近づいてくる。


「落ち込んでなんかいられないって分かったんだ」

「はぁ? ――お、おい」


 沙和はさっき自分が叩いた僕の背中を撫でた。僕にやや引きつった笑顔でぎこちなく笑いかけてくれる。


「だって、私が動きを止めたって、甲斐斗と高月先輩が仲良くなるだけだもん」

「なに言ってんだお前は」


 僕が眉をひそめる。だけど気にしていないのか、沙和は真っ直ぐに僕を見つめる。緊張なのか唇を少し震わせながら、口を開いた。


「私、負けないから。高月先輩以上のことはできないかもしれないけど、もし高月先輩にも言えないことがあったら、私に言うんだよ」


 コイツはなんでこうもタイミングがいいのだろう。しかも、顔を真っ赤にさせて照れ笑いしやがって……ついつい、頼ってしまいそうになるじゃないか。


 僕は言葉に詰まってしまい、上手く返答ができない。沙和はそのまま走り去ってしまった。走り去る沙和を見送る。すでに先輩達は先に行った様で姿は無かった。


 不思議と少しだけ心が落ち着いていた。きっと理由は沙和にある。沙和は僕を見てくれている。だってアイツは昔からの幼馴染だからだ。誰の面影も追ってはいない。


 だけど……その記憶も作られたものかもしれない。昨日の真琴さんの告白もあって気になることがいくつかある。僕はそもそもいつからこの世界に存在しているのか。両親や友人とはいつから関係があったのだろう。沙和との友人関係も平光先生が作り上げたのだろうか。


 これは平光先生に聞くしかないだろう。学校に着いたら早速職員室へ行くことにする。僕は再び歩き出した。



今日はここまで。(少なっ)

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