11/23 0:31
今回のコメント
今日のごはん。
焼きそば。
漬物。
以上。(少なっ)
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今日は三人揃って歩いている。特に会話はない。空元気だってそう長く続くものじゃない。滝川先輩もどこか険しい顔をしている。高月先輩は無表情で感情が読み取れない。僕は少し遅れて歩いている。きっと三者三様の気持ちを抱えているに違いない。
二人が遠くに感じる。僕と違って長い間考える時間があったんだ。もう結論が出ているのかもしれない。開き直りなのか、どうかはわからないけど。
僕が小さくため息をつこうとした瞬間、背中に強く叩かれた。
「痛っ!」
「おーっす! 今日も元気かね、甲斐斗」
ひりひりした背中に一生懸命手を伸ばしながら、後ろを振り返ると、目の前には沙和が立っていた。なんだ、機嫌がもう直ったのか?
「お前なぁ……」
僕はうらみたっぷりの視線を向ける。沙和は少しだけ舌をだして誤魔化す。
「なんかしょぼくれてたから活をいれました~」
背中の痛みが引いていくと、代わって苛立ちが先行してきた。僕の気持ちも知らないで逆なでする様な行動をとるなんて……。
黒くて重い感情が沸々と沸いてくる。ただいたずらに傷つけてやろうかと算段を始めようとする。駄目だ。沙和は悪気があってこんなことをしてるんじゃない。必死に抑える僕に、沙和は構うことなく近づいてくる。
「落ち込んでなんかいられないって分かったんだ」
「はぁ? ――お、おい」
沙和はさっき自分が叩いた僕の背中を撫でた。僕にやや引きつった笑顔でぎこちなく笑いかけてくれる。
「だって、私が動きを止めたって、甲斐斗と高月先輩が仲良くなるだけだもん」
「なに言ってんだお前は」
僕が眉をひそめる。だけど気にしていないのか、沙和は真っ直ぐに僕を見つめる。緊張なのか唇を少し震わせながら、口を開いた。
「私、負けないから。高月先輩以上のことはできないかもしれないけど、もし高月先輩にも言えないことがあったら、私に言うんだよ」
コイツはなんでこうもタイミングがいいのだろう。しかも、顔を真っ赤にさせて照れ笑いしやがって……ついつい、頼ってしまいそうになるじゃないか。
僕は言葉に詰まってしまい、上手く返答ができない。沙和はそのまま走り去ってしまった。走り去る沙和を見送る。すでに先輩達は先に行った様で姿は無かった。
不思議と少しだけ心が落ち着いていた。きっと理由は沙和にある。沙和は僕を見てくれている。だってアイツは昔からの幼馴染だからだ。誰の面影も追ってはいない。
だけど……その記憶も作られたものかもしれない。昨日の真琴さんの告白もあって気になることがいくつかある。僕はそもそもいつからこの世界に存在しているのか。両親や友人とはいつから関係があったのだろう。沙和との友人関係も平光先生が作り上げたのだろうか。
これは平光先生に聞くしかないだろう。学校に着いたら早速職員室へ行くことにする。僕は再び歩き出した。
今日はここまで。(少なっ)