11/20 1:40
今回のコメント
中日とうとう逆王手!
落合監督のコメントを読んでると、第七戦まで考えているっていうのは、序盤戦で分かっていたけど、まさか本当に第七戦までもつれるとは……
おおおっ、盛り上がってまいりました!
決戦は日曜日。
落合監督最終戦が日本一を決める一戦、一回勝負なんてドラマチックすぎる!
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さしあたって一度、この試験を定義する必要がある。僕は核心に迫る質問をぶつけることにした。
「日記部の試験って、一体なんなんですか? ある人は卒業試験って呼んでますけど」
僕の言葉に真琴さんは一瞬眉間にシワを寄せ、瞳に力を込めた。迷った末なのか、ついに口を開いて、真実を伝える。僕は歯を食いしばり、少し前のめりの体勢になった。
「人になるための試験……とでも言った方がいいのかしら」
「人、ですか?」
真琴さんは頷くと真っ直ぐ僕を見た。応えるように僕は見つめ返す。一度、下向いた真琴さんは気持ちを固めたのだろうか、口元に当てた拳を強く結んだ。
「いい。ちゃんと聞いてね」
僕は黙って頷く。話につかみどころがなくて、声が出ないのだ。真琴さんは湯のみのお茶を一気に飲み込む。大きな音立てて机に置くと、鋭い視線を僕に向けた。
「貴方達はまだ平光先生の日記世界の中の住人に過ぎないの」
僕が日記世界の中の住人? 貴方達? 誰のと誰のことなのか?
「えっと……意味が分かりません」
「そうよね。だけど本当なの。正確には言うと、草弥君と亜也さんは人の体をもっていない魂だけの存在なの」
いやいやいや、僕は自分の手の平を見つめた。確かに存在しているじゃないか。手を開いたり閉じたりして、体の丈夫を確かめる。
自分の体を確認した後、真琴さんを見ると、痛々しい現場を見たような、すごく悲しい顔をしていた。
「どうしてそうなったのかはわからない。だけど、二人の魂は平光先生の力で肉体を今のところ仮に保っていると言えるわ」
平光先生は不思議な力があるのは分かっている。だけど、僕や高月先輩の命運を握っているところまでは考え及ばない。
「信じられないわよね。だけど、消えていった先輩達やハードカバーの日記帳、輪転の誓いの力を考えれば、否定は出来ないはず」
消えた美国の話、ハードカバーの日記に宿る力、なにより輪転の誓いが僕と高月先輩しか使えない。たびたび滝川先輩から『僕しか高月先輩を助ける事が出来ない』と言われたりするけど……考えて見ると色々と符合するところが出てくる。
だからと言ってにわかには信じられない。とはいえ、今までの先輩が必死になって試験に合格しようとしていたのは御堂真理をみて分かった。あれだけ必死になるということは、それだけの見返りがると言うことだ。
そして、僕にも無関係ではないことが分かってきた。自分の存在自体がこの試験をするためにあるのだ、といって過言ではない。
僕が俯いて考えていると、真琴さんは合否について語りだした。
「合格するって言うことは、『楽しいこと』で埋まった日記帳を持つということ。生きる価値のある世界があると認められ、貴方達は肉体を持って、これからも生活を続けることができる。大人になっていくの……」
ということは大人になるための試験だと言い換えることも出来るということか。若くして死にたいって言う人間にはありがたい話じゃないか。自分の価値を判定してもらえるんだから……なんて、馬鹿馬鹿しい。僕はそんなの望んでないから。
真琴さんは僕の気持ちに関係なく言葉を継ぐ。
「だけど、不合格になれば、『生きる価値のない人生』として、魂の落第を命じられるの」
「落第ですか?」
「そうね。一年生からやり直し」
「それってどういうこと……」
生きる価値がないイコール魂の落第。三年生だった部長が一年生からやり直しってことか。だけど、美国進は一年生にいないじゃないか。少なくとも僕は美国なんて生徒知らない。
これはどいう……
『だって美国先輩は君にそっくりなんだよ』
――そうか。思い至ってしまった。
魂の落第、一年からやり直し、僕と高月先輩の魂だけが実体をもたない。
つまりは……
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