11/19 15:23
今回のコメント
11月に入って中盤だと言うのに、今月、土曜日の更新がほとんど無い。
ということで、昼間少しだけ更新しちゃいます。
野暮用ができて眼鏡買いにいけないから、今のうちだけですが。
読んでいる人にはどうでもいいことですけどね!
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どれぐらい時間が経っただろう。壁にもたれ、膝を抱えて座っていた。すでに高月先輩の声が聞こえなくなって、かなりの時間が経っていた。
僕はといえば早々に立ち去ればいのになにもせずに座ったままだった。自分には何もできない。高月先輩に本当のことを秘密にされ、つらい気持ちも教えて盛らえず、盗み聞きしている自分が情けなかった。
「はぁ……」これでもう何度目のため息だろう。明日からどうしたらいいだ。
と、抱えた膝におでこを付けた瞬間、襖が勢いよく開いた。突然のことに僕は逃げることも隠れることもできなかった。
「亜也さんは出てこないわよ。泣き疲れて寝ちゃったから」
顔を上げて横を向くと、真琴さんが立っていた。高月先輩に合わせる顔がなかったので、僕は正直ほっとした。真琴さんなら今の気持ちを聞いてもらえるかもと安心した。
「ずっと立ち聞きしてたのね」
真琴さんはこちらに近づいてきた。
「あ、あの……」
僕が話しかけようとしたところで、真琴さんはしゃがみこんで僕と視線をあわせた。
「覚悟はできてるんだろうな」
「え?」
「テメーの覚悟はできているんだろうなって聞いているんだよ」
いつもの軽い声ではなく、重くドスの利いた声だった。僕はあまりの変わりように息を呑んだ。答えられない僕にイライラしたのか、胸倉を掴んで捻り上げる。
「『亜也の役立ちたいか』と聞いた私の言葉を覚えているか?」
僕は無言で頷く。すると掴んだ胸倉を引き寄せて、奥歯をかみ締めながら話を続けた。
「テメーは『当たり前じゃないですか!』って答えたんだ。わかるな?」
さっきより勢い良く僕は首を縦に振った。真琴さんは眉間に皺を寄せ、力の篭った瞳で僕を睨みつける。視線を反らそうにも、至近距離過ぎて逃げることができない。それに今視線を反らしたら、僕の思いは嘘になる。試されているんだとしたら、ここは立ち向かうべきだ。
僕は真琴さんのおでこにぶつかりつつ、見つめ返した。数分にも数時間にも思えてしまうぐらい、緊張状態が続いた。
そして真琴さんはすこしだけ胸倉を掴むてを緩めた。
「きっと亜也はもう何も言わないだろう。だから、私が教えてやる。聞いた後も今の気持ちを忘れるなよ」
僕は再び黙って頷いた。本当のことを言えば、言葉が出なかっただけである。にしても、さすがは元部長。そして大人。迫力と普段とのギャップが段違いだ。
立ち上がって、歩いていく真琴さんに僕は慌てて立ち上がりついて行った。
更新は1~2時間後かもね。




