11/19 3:46
今回のコメント
どうしてこうなった!
月曜日は2勝0敗だったのに!
いまや相手が王手になっている……
どうしてこうなった!
昨日と同じ展開で、寝オチ更新!(という言い訳)
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高月先輩は何度も目を拭っているように見えた。きっと、とめどなく涙が止まらないんだろう。
「やっと……素直になろうって決めたのに……」
「亜也さん……」
「もう一度、楽しい時間が取り戻せると思ったのに……」
目をこする仕草をしている腕を真琴さんが掴む。すぐに高月先輩の手を包み込むように握った。
「駄目っ! 弱気にならないで!」
高月先輩は大きく首を振る。
「怖いよぉ……」
「まだ大丈夫だから。アナタはまだ終わってないから!」
「――もう嫌ぁ」
高月先輩が真琴さんの身体へしがみつくよう抱きついた。そして声をあげて泣いた。子供のように、何かを振り払おうとするかのごとく、大声で。
静かに泣いた姿は入部の時に見た。しかし、感情をむき出しにして泣きじゃくる高月先輩を目の当たりにした。
滝川先輩はこうなる事を予期していたんだ。何度も嗚咽を漏らしながら、声をあげる高月先輩。昼間僕たちを励ましてくれた姿はなかった。僕は見ていられなくなり、下を向く。逃げ出したい気持ちもあるが、ここで部屋を去ってしまったら、面倒ごとから逃げ出すただの臆病な人間だ。
今日はよく女の子が泣く姿を見る日だ。御堂真理に始まり、滝川先輩、そして高月先輩。僕から見れば三人は本当に強くみえた。多少の困難なら正面からぶつかっていくような気概さえ感じた。だけど、どこかで心細さを皆持っている。完全に独りで立ち向かえる人間なんていないんだ。皆、泣き出しそうな思いを抱えながら、生活しているのかもしれない。本気で生きている人ならなおさらだ。
時に小さく、時々大声で、真琴さんの身体にぶつけるように泣いている高月先輩。きっと今まで誰にもいえなかったんだろう。ましてや後輩の僕では役に立たないのか……
こんなところで僕は何をしている。大切な人の泣き声を聞いているだけなのか。自分を責めたところで答えは出ない。
ただ、高月先輩の言葉が思い出された。
『草弥君。御堂先輩を庇う美国先輩を見てたよね?』
『私が同じ状況になったら君にできる?』
『できます。美国には負けません』
嘘つき。そう言われたって仕方がない。何様のつもりだったんだ僕は。
結局、僕はただ部屋の外で突っ立って高月先輩の泣き声を聞いていた。握った拳が震えている。力を持て余し、壁でも殴りつけたい気持ちだ。だけど、それはできない。僕の今の怒りは発散して解消するものではない。
今できる事はこの場面、声を決して忘れないことだと思う。頭に焼き付けるんだ。先輩の力になるために。
今日はここまで