11/18 23:47
今回のコメント
今日のご飯!
餃子
焼売
野菜炒め
ごはん
以上!
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先輩の言った意味を確かめるためにも僕は再び真琴さんの部屋の前に戻った。真琴さんはまだ日記を読んでいるようだったが、少しして日記帳を閉じた。深いため息をついて高月先輩を見つめる。先輩の肩が一瞬震えた。
「まずは、よく頑張ったね。気が狂いそうになるところをよく踏ん張ったと思う」
高月先輩の肩に入った力が抜けていくのが、後ろからだとよくわかった。だが、真琴さんの表情はあまり冴えない。まだ続きがあるようだ。
「でも……亜也さん。草弥君に重要な事を話していないようね」
高月先輩は黙って頷いた。
やはりという思いと残念な気持ちが混ざった塊が僕の腹の中で渦巻いた。なんだか体が重い気がする。高月先輩は下を向いたまま、真琴さんに答えた。
「私が美国先輩から同じ事を聞かされた時……やっぱりショックだったから」
「同じ思いをさせたくないと?」
高月先輩は首を振った。長い髪が後から送れて身体に巻きつく。
「ごめんなさい。きっと建前だと思います。本当は拒否されるのが怖いんです」
僕が拒否する? そんな事はありえない。先輩は怖がる必要はないんだ。今すぐ飛び出して、先輩に言いたかった。僕や滝川先輩に対する高月先輩の気持ちに応えたい。とは言え、今飛び出したら立ち聞きが丸分かりなので、なんとか自重した。
「美国先輩をあの時私が受け入れなかったから。気づくのが遅すぎたから。先輩なら合格する可能性があったのに」
高月先輩は両手を顔に当てて、肩を震わせた。泣いているのか? 震える声が室内に響く。
「私も消えちゃうんでしょうか。美国先輩みたいに不合格で消えちゃうんでしょうか?」
高月先輩が消える? 美国が消えたという話は何度か聞いていた。それがどういう意味を持つのか僕には分からなかった。会えない場所へ行ってしまったことは理解できる。でもそれが、存在自体が消えてしまうなんてことには繋がらない。
本当に煙のように消えてしまったのか?
「このままだと……」
真琴さんは言い切ることができない。きっと良くない返事なんだろう。だとすれば、本当に高月先輩はいなくなってしまうのだ。僕の目の前から消えてしまう。
美国の日記世界に行った時、滝川先輩は僕に言った。
『じゃあ、亜也が会いいにいけない場所に行ったとしたら?』
『……どういう意味ですか?』
『そして会えない理由が自分にあったとしたら?』
『滝川先輩?』
『答えろよ』
答えられない。現実感が伴わないんだ。だって目の前にいる。今だって声が聞こえるんだ。
だけど……いつもの部室、いつもの席に座っている高月先輩、滝川先輩、僕。ゆっくりと高月先輩がゆっくりと消えていく。残される滝川先輩と僕。
気がつくと僕は唇が震えていた。怖い。ただひたすらに怖い。壁についた手も震えていた。
室内では確かに真琴さんと高月先輩がいるっていうのに。
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