11/18 3:49
今回のコメント
寝落ちてたっ!
とりあえず、できたところまで。
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「亜也さん、内容もちゃんと読んで良いかしら?」
あの文字が読めるのか? 真琴さんは高月先輩に了解をとると、ページをめくり日記を読み出した。高月先輩は肩を落とし、俯いたままじっとしている。
数分、同じ光景が続く。
「悪い。私はもう帰る」
下から滝川先輩の声が聞こえると、部屋を離れていった。室内はまだ真琴さんが日記を黙読していた。滝川先輩はどういうつもりなんだ? 重要な場面の前に去っていく先輩を僕は追う。
「先輩。待ってくださいよ。これからが重要なんじゃないですか」
振り向いた滝川先輩は僕を睨みつけ、自嘲気味に鼻を鳴らす。
「私が内容を知ったからって、なんになるんだ?」
「急にどうしたんですか?」
しばらく滝川先輩の無言は続いた。僕は待つことにした。きっと先輩はこの先に起こることをなんとなくわかるのだろう。だから見てられなかったんだ……と思う。
やがて観念したのか滝川先輩は口を開いた。
「こうなる事は分かってた。繰り返しなんだ。永遠の繰り返しなんだ。だから止めたのに……美国がいなくなった時、止めたのに……」
「先輩の言っている事はわかりません。だけど、今はちゃんと見届――」
「なんになるんだ。私じゃあ、なにも助けにならないのに、ただ残念な結果を見届けろって言うのか」
滝川先輩は僕の胸倉を掴んで声をかみ殺しながら、噛み付かんばかりの勢いで、僕の顔を引き寄せる。先輩の瞳には涙が溜まって潤んでいた。少しして胸倉から手を離し、僕を軽く突き飛ばした。
「……すまん。私にもできるあると思う。少しでも良い思い出が作れるように。それを自分の部屋でじっくり考える」
先輩は僕に背を向けとぼとぼと歩き出す。数歩進んだところで、立ち止まって、振り向かずに話を続けた。
「お前は戻った方が良い。ちゃんと亜也を見届けてくれ」
「でも!」
「これはお前しかできないことなんだ。おそらく日記がああなった原因はお前にあるんだから」
「それってとういう……」
僕の問いに答えることなく、滝川先輩は立ち去った。
先輩の言った意味を確かめるためにも僕は再び真琴さんの部屋の前に戻った。真琴さんはまだ日記を読んでいるようだったが、少しして日記帳を閉じた。深いため息をついて高月先輩を見つめる。先輩の肩が一瞬震えた。
今日はここまで。