11/11 2:06
今回のコメント
くそっ、誰だ!
「とらドラ」と「おねてぃ」を連続で放送すると決めた奴は!
おもわずすっと見てしまったじゃないか!
(言い訳)
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小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、美国は御堂真理に向かって駆け出していた。
そういえば、昨日美国と話をした時に、僕達が日記部だということは黙っていて欲しいと言われたことを思い出した。きっと美国なりの考えがあるのだろう。
美国はすぐに御堂真理の前に立ちふさがると、進路を塞いだ。一瞬、美国がこっちをみて合図を送る。僕は今起こっていることに反応できず、眺めているだけで、体が動かなかった。
「たしかにこの人数の中でいつもの騒ぎを起こしたら面倒なことになりそうね」
動けなかった僕に高月先輩が肩に手を置く。たったそれだけで、リラックスがができて足が動いた。僕達は裏門へ戻ることにした。
「滝川先輩、行きましょう」
「え? ああ……」
滝川先輩の反応がいまいち鈍い。高月先輩が腕を引っ張り、なんとか進む方向を変えた。
すると背後から御堂真理の大声が聞こえた。
「逃げるの? そうよね。これだけの力の差を見せられたら逃げたくもなるわよね」
「なんだと……」
滝川先輩は立ち止まり、高月先輩の手を振り払った。強引な態度に僕と高月先輩は驚いてしまった。そして滝川先輩は早足で、御堂真理に近づいていった。
滝川先輩の様子がおかしい。僕は近くに駆け寄る。だけど無視するように先輩は歩いている。顔を覗き込むと、なんとなく瞳の焦点があっていないような気がした。
「『輪転の誓い』を使わないから、御堂真理の影響を受けているのかも」
高月先輩は僕に言いながら滝川先輩の腕を掴むけど、振り払って走り出した。御堂真理も美国を振りきってこちらに向ってくる。二人はとうとう話ができるぐらい近づいた。すぐに滝川先輩が大声で応えた。
「だれが逃げるだって? 冗談じゃない。逃げてるのはそっちだろう」
羽扇子を一気に開いて、顔の前に持ってくるいつものスタイルで御堂真理は口元を隠す。
「逃げる? この人だかりを見てよくそんなことが言え――」
「言えるさ。お前がどうして人を集められたかも言えるぞ」
なんとか滝川先輩に追いついた僕は腕を突かんで引っ張った。しかし滝川先輩の抵抗が激しく、引っ張るのに苦戦した。
「滝川先輩、さぁ、いきましょう」
「うるさい、邪魔するな、草弥! コイツは言わなきゃわからないんだよ」
完全に度が過ぎていた。滝川先輩はものすごい力で御堂真理に近づこうとした。これが輪転の誓いの力で操られるってことなのか?
キリが悪いのであと一回更新する予定。