11/10 23:55
今回のコメント
実は色々な理由があって、キッチンでノートパソコンを使って現在執筆中。
場所を変えると新鮮だね。
決してはかどりはしないが、気分転換にはもってこい!
よし、このままネット巡回でもするか!(駄目ぜったい!)
以上。
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僕から降りた二人は各々腕組みをして、少し俯いた。滝川先輩がぽつりと呟く。
「状況はわかった……だが」
「やっぱり……」
高月先輩は小さく頷くとため息をついた。
「あの、僕にはなんのことやらさっぱりですけど……」
すると二人はお互いを見つめてから僕をみた。滝川先輩が僕へと数歩近づき、自分の首を指した。
「御堂真理がこの人垣を作ったらしい。証拠は首についているチョーカーだ」
「チョーカーつけただけで人が集まるなんてそんなこと……」
ある。御堂真理は日記部部長だ。だとすれば、歴代部長の力を借りればできる。僕の表情をみて高月先輩は頷いた。
「仲裁女王。第五十七期生、大沢ユミの力をもってすれば、周りの生徒を集めることができる」
彼女の力は仲裁するというよりは、人を説得する力に長けているのだ。当初、輪転の誓い勝負になると踏んだとおりの結果となった。
「あいつらもいよいよ追い詰められたってことだ」
確かに、今まで使わなかったのが不思議なぐらいだ。御堂真理なりにプライドがあったってことか。これで日記部以外は当選圏外になったといえる。
滝川先輩は不敵に笑っている。高月先輩は腕組みしたまま人垣を見つめていた。
「よし、亜也、こちら側も力を使うぞ」
「『輪転の誓い』同士の対決なんて考えてもみなかったけど……」
高月先輩がこちらを見た。僕は頷く。しかし、先輩の視線が動き、僕の背後を見つめていた。
「……皆さん、ちょっと待ってもらえますか?」
振り向くと、美国が立っていた。息を切らせて肩を揺らしている。眼鏡を少しずれて、余裕がない様子。あきらかにらしくなかった。
「お願いがあります。『輪転の誓い』を使わないでもらえますか」
美国は九十度に腰を曲げて頭を下げていた。僕たちはみな驚いた様子で美国を見つめるが、すぐに滝川先輩は美国に近寄り、胸倉を掴んだ。
「これだけの人を集めておいて、よくそんなことが言えるな!」
「……すぐに御堂先輩を説得して力を使わないようにします。僕も協力しません」
滝川先輩の剣幕に怯むことなく、美国は視線を合わせて答える。無言で見つめあうこと数秒、滝川先輩は掴んだ胸倉を離した。
「お前は私にとっては本当に嫌な奴だったが、嘘はつかなかった。信じていいんだな」
美国は黙って頷いた。高月先輩は美国を悲しそうな表情で見つめている。僕は高月先輩を見て、胸が疼いた。
「お願いついでで申し訳ないんですが、皆さんが日記部だとい――」
「あらあら、どなたかと思えば中間発表二位の敗北者達ではありませんか!」
良く通る大声が聞こえたかと思うと、人垣が左右に割れていく。奥から現れたのは羽扇子を持った御堂真理だった。
顎をあげて僕らを見下すように睨み付けると、羽扇子を優雅に揺らし、こちらに近づいてい来る。注意深く見ると羽扇子の隙間から首に付けられたチョーカーが見え隠れしている。本当に輪転の誓いを使ったのか……
「草弥、頼む。ここから離れてくれ」
「え?」
小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、美国は御堂真理に向かって駆け出していた。
更新は1~2時間後ですよ~