11/9 22:22
今回のコメント
今日の夕は~ん!
酢豚
ごはん
以上。
***********************************
日記世界に入って待ち構えていたのは、平光先生だった。
「ご無沙汰~。今日のお昼休みね~、部室に集合してくれる?」
「なぜです?」
「ふっふっふっ、それは集まってからのお楽しみ」
嫌な予感を覚えつつ僕達は頷き、朝の選挙活動に向う。正門に到着すると、やはり美国陣営が選挙活動を行っていた。滝川先輩は舌打ちしながら、歩調を速める。
「いくぞ亜也」と言って高月先輩の手を掴んで、進んでいった。そして三日目にしてすっかりおなじみとなった喧嘩が始まる。すでに野次馬が周りを囲み始めていた。
「うわ~、すっかりお馴染みだね~」
なんて暢気な声を上げて、ちゃっかり僕の隣に立っているのは美国だった。僕はコイツに聞かなければならないことがある。昨日高月先輩となにを話したかだ。
すると美国は笑顔で答えた。
「話すわけないでしょ?」
「はぁ? 僕の応援してくれるんじゃないのかよ」
「それとこれとは別だよ。女の子のプライベートを簡単に教えるほど、俺は軽くないよ。君が逆の立場だったら、教えてくれるのかい?」
僕はそれ以上追及もできずに黙ってしまった。
「だけど、ちょっと驚きだったよ。高月さんは本当に御堂先輩に似ているね」
美国の視線の先には御堂真理がいた。相変わらず羽扇子を持って、何かを叫んでいる。昨日美国から御堂真理の話を聞いた時に確かに共通点はある気がしたけど、驚くほどは似ていないと思う。
「確かに素直じゃないところは似てるけど、それ以外は……」
「そう。素直じゃない。だから注意深く見守らなくちゃいけないんだ」
御堂真理を見つめる美国は瞳を細めて嬉しそうだ。言葉どおり自由にさせているようで、ちゃんと見守っているんだろう。正直、僕は美国の域までは全く達していない。いつも高月先輩に振り回されている気がする。
僕はきっと高月先輩を見て、難しい表情をしていたに違いない。美国が急に僕の視界に入り込み、手を振った。
「大丈夫。高月さんは現在進行形なんだから」
「どういう意味だよ」
「まだどうにかなるって意味さ
ますます意味がわからないが、応援されているんだということにした。
しばらく滝川先輩と御堂真理の小競り合いを黙ってみつめていたが、やがて美国はため息をつきながら、下を向く。
「俺らは結局なんのために戦っているんだろうね」
なんだか美国らしくない弱気発言に僕は少し面食らった。だけどすぐに言い返した。
「だったら、選挙に負けてくれよ」
「断る」
とんでもない速さで返答された。迷いがない。
「もう少し考えろよ」
「だって御堂先輩は負けることが大嫌いなんだ。そんな先輩を僕は好きだ。精一杯応援したい」
「そんな理由で――」
「いいんだよ。理屈はいくら重ねても理屈だ。感情じゃあない。俺は自分の感情として御堂先輩を応援したいんだ。理由なんてどうでもいい」
いや、お前の話は十分理屈っぽかったぞ、と言いかけてやめた。計算づくみたいな顔して、この男にも葛藤があるのかもしれない。
美国は僕の顔を見て、御堂先輩を指差して微笑んだ。
「じゃあ行くよ。お昼休み楽しみにしている」
「お前たちも呼ばれてるの?」
「まあね。っていうか立候補者皆呼ばれているよ」
なんだ。平光先生のことだから日記部部員だけかと思ったら違うらしい。ということは選挙の連絡事項ってことか。少し警戒していたからホッとした。
更新は1~2時間後