表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
232/539

11/8 22:25

今回のコメント


今日のご飯!


牛丼


以上!(少ない)



***********************************



 高月先輩に確認したい事は沢山あったが、一番気になるのは昨日の日記がどうなったかである。たしか一日ごとに「楽しいこと」か「悲しいこと」かの判定が下るはず。食事の最中はさすがに聞けないので、後で時間を見て聞いてみることにした。


 食事後、僕は食器を洗う係りなので、せっせと洗う。初日こそ滝川先輩に監視されていたが、面倒くさいのかもう姿はない。よし、こうなったらスピードを上げちゃえ。僕はゆすぐ時間を短縮することにした。すると瞬間背後から声が聞こえる。


「駄目、失格。濯ぎがなってない!」

「ご、ごめんなさい!」


 僕は肩をすくめて後ろを向く。そこには鬼軍曹ではなく……


「手伝ってあげる」


 渦中の高月先輩が立っていた。僕は自分の頬が一気に赤くなっていくのを止められない。先輩はゆっくりと僕へ近づいてきた。


「私が洗うから、君は食器を濯いで」


 先輩僕の隣に立つ。一瞬髪が揺れて僕の手に触れた。同時にシャンプーの良い匂いがする。落ち着けと心で何度も唱えるけど、唱えれば唱えるほど意識してしまう。


 しばらくは黙々と作業を進めた。なにか言わないと。はやる気持ちに反して、何も言葉に出なかった。気まずいと思っているのは僕だけだろうか。水道の流れる音があって正直助かった。洗剤で洗われた食器がどんどん置かれていく。ちょっとペース速くないですか? 僕も負けじと急いで濯ごうと、手を伸ばした。


 すると食器にはないやわらかい感触。まさか。まさか、まさか。僕はゆっくり手元を見た。思いっきり、先輩の手を握ってるっ!


「これじゃあ洗えないから」


 ゆっくりと顔を上げると、高月先輩が僕を見つめていた。


「わわわっ! ごめんなさい!」


 僕は握った手を跳ね上げ、後ろ手にして隠した。そんなベタな展開ありですか! 僕が何度も頭を下げて謝っていると、先輩の声が頭上から聞こえた。


「私こそ……昨日はごめん」


 僕は頭を下げたまま固まる。ゆっくりと顔を上げると、高月先輩が少しだけ口を尖らせながら横を向いていた。昨日のこと? 考えなくてもすぐに思い浮かんだ。そして同時に浮かぶ疑問。


「なんで謝るんですか?」

「誤解されたかも、って思ったから」

「誤解?」

「別に私、怒ってないから。感謝してる。でも、顔見たらなんか釈然としなくて……」


 頭突きの事を言っているのはわかった。僕にとっては些細な事だったのだけれど、先輩は気にしていたのだろう。普段は先輩然としているのに、可愛らしいところもあるんだなと微笑ましく思えた。




いつもどおり更新は1~2時間後

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ