11/8 22:25
今回のコメント
今日のご飯!
牛丼
以上!(少ない)
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高月先輩に確認したい事は沢山あったが、一番気になるのは昨日の日記がどうなったかである。たしか一日ごとに「楽しいこと」か「悲しいこと」かの判定が下るはず。食事の最中はさすがに聞けないので、後で時間を見て聞いてみることにした。
食事後、僕は食器を洗う係りなので、せっせと洗う。初日こそ滝川先輩に監視されていたが、面倒くさいのかもう姿はない。よし、こうなったらスピードを上げちゃえ。僕はゆすぐ時間を短縮することにした。すると瞬間背後から声が聞こえる。
「駄目、失格。濯ぎがなってない!」
「ご、ごめんなさい!」
僕は肩をすくめて後ろを向く。そこには鬼軍曹ではなく……
「手伝ってあげる」
渦中の高月先輩が立っていた。僕は自分の頬が一気に赤くなっていくのを止められない。先輩はゆっくりと僕へ近づいてきた。
「私が洗うから、君は食器を濯いで」
先輩僕の隣に立つ。一瞬髪が揺れて僕の手に触れた。同時にシャンプーの良い匂いがする。落ち着けと心で何度も唱えるけど、唱えれば唱えるほど意識してしまう。
しばらくは黙々と作業を進めた。なにか言わないと。はやる気持ちに反して、何も言葉に出なかった。気まずいと思っているのは僕だけだろうか。水道の流れる音があって正直助かった。洗剤で洗われた食器がどんどん置かれていく。ちょっとペース速くないですか? 僕も負けじと急いで濯ごうと、手を伸ばした。
すると食器にはないやわらかい感触。まさか。まさか、まさか。僕はゆっくり手元を見た。思いっきり、先輩の手を握ってるっ!
「これじゃあ洗えないから」
ゆっくりと顔を上げると、高月先輩が僕を見つめていた。
「わわわっ! ごめんなさい!」
僕は握った手を跳ね上げ、後ろ手にして隠した。そんなベタな展開ありですか! 僕が何度も頭を下げて謝っていると、先輩の声が頭上から聞こえた。
「私こそ……昨日はごめん」
僕は頭を下げたまま固まる。ゆっくりと顔を上げると、高月先輩が少しだけ口を尖らせながら横を向いていた。昨日のこと? 考えなくてもすぐに思い浮かんだ。そして同時に浮かぶ疑問。
「なんで謝るんですか?」
「誤解されたかも、って思ったから」
「誤解?」
「別に私、怒ってないから。感謝してる。でも、顔見たらなんか釈然としなくて……」
頭突きの事を言っているのはわかった。僕にとっては些細な事だったのだけれど、先輩は気にしていたのだろう。普段は先輩然としているのに、可愛らしいところもあるんだなと微笑ましく思えた。
いつもどおり更新は1~2時間後