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11/6 22:03 『1K→2DK』①

今回のコメント


中日日本シリーズ進出っ!


まさかの井端のホームラン。

荒木のフォアボールも助けになってたね。

まさにアライバコンビの得点だった!

(ホームランはできすぎだけど)


『トロフィー』は、絶賛選挙編中なのですが、

選挙活動三日目から、かなり話が展開します。

色々と整理をしたいので、今日はお休みです。


代わりにもなりませんが、短編を数回に分けて載せます。

かなり短い話になります。

短編として「なろう」に掲載する程ではないので、時間つぶしに載せちゃいます。


タイトルは「1K→2DK(仮)」です。

思いついたのは10月中旬。

そう、タイヤのパンク事件の日です。

パンクを直しながら思いつきました。


他愛のない話ですが、どうぞよろしく。



***********************************



『1K→2DK』



 そこにあるものがなくなっている。

 手を伸ばしたら、何もない感触がして私は目が覚めた。


 薄暗い室内、体を起こして隣を見る。

 二つ並んだベッドの片方に彼はいなかった。


 またか……

 私はベッドから降りると、ドアへ向かう。


 すぐ隣に行けば洋間がある。予想通りドアの隙間から明かりが漏れていた。

 私はドアをほんの少しだけ開ける。

 彼は居間のソファーに座り、なにもせず、じっと正面を見ていた。


 時間は午前二時過ぎ。寝たのが二十三時過ぎだから、三時間後の出来事だ。


 私はドアノブをきゅっと握る。ほぼ同時期に彼はゆっくり動き出した。

 煙草に手を伸ばて一本取り出し、口にくわえようとする。

 でも、なにかに気づいたように煙草を元に戻す。

 きっと私が「居間では吸わないで欲しい」と頼んだからだ。


 引っ越そうと言ったのは私だった。

 もともとは1kの一人暮らしをしていた私の家に彼が転がり込んできた形。


 寝食同じ部屋で過ごした。ベッドはセミダブルに二人で寝ていた。

 あの時も今日みたいに夜中に目が覚めた私。

 背を向けて肩を震わせている彼を何度か目撃した。

 その度、何も言わず私は彼の背中に体を預けた。

 すると震えが止まり、少しだけ彼の体の重みが私にもたれかかる。

 私はややまどろみながらも、任せてもらった体の重みに安心して眠りについた。


 だけど、今はどうだろう。

 彼が悲しんでいるという予感は相変らず当たるのに、私はドアの隙間から悩んでいる姿を眺めるだけなのだ。ドアを開けて踏み出せばそれですむのだろう。だけど、見てはいけないものを見た気がして、足がすくむのだ。

 拒否したわけじゃない。もっと安心した暮らしがしたくて引っ越したのに。


 私はこれからも一緒に暮らすのなら、お互いの時間を確保したほうがいいと思ったから、ベッドも二つ用意したし、部屋だって増やしたのだ。

 将来を夢見たはずなのに、足元を、現在を、おろそかにしたのだ。

 結果、できたのは隙間だった。私には飛び越えることのできない隙間だった。


 それに。どうしたんだろうね、私。

 安心が欲しかったら、今すぐドア開ければいいのに。

 あの時みたいに体を寄せ合うこともできない。

 だって、本当に私を必要としてくれるんだったら、居間なんかで泣かないよね。

 引っ越したことで彼を困らせているの?

 重圧をかけてたのかな……



更新は1~2時間後

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