11/6 5:07
今回のコメント
わはははっ、今まで寝てた!
土曜日。
お昼ぐらいに起きる。
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チャーハンを作り始める。
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会社から電話。緊急の用事。
チャーハンを途中で諦め、職場へ向う。
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トラブルに対処する。
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家に戻る。
かなり遅めのチャーハンを食べる。
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軽く寝るつもりで、ガッツリ寝る。
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起きる。←今ココ
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あっという間に時間が過ぎ、僕らは現実世界に戻った。
滝川邸に戻った僕はすぐに自室へ閉じ籠った。不必要な高月先輩との接触を避けたかったからという理由だ。食事の準備や食事中、明日への作戦会議等は滝川先輩がいるから、何とか平気だった。
再び自室に戻って携帯を確認するが、今日は沙和からの着信は一件もなかった。今朝あんなことこを言ってしまったのだから、当たり前といえば当たり前か。沙和を相手に気晴らしなんて都合の良い奴だ。自嘲気味のため息をついた。
正直、大切ななにかを他人に譲るという行為を僕は初めて体験した。そりゃ、今までだって買いたかった本やゲームを諦めたことは何度かあった。だけど比べること自体間違いだ。心に根ざした大切な物を譲ることがこんなにも辛いなんて考えもしなかった。
自分ではどうにもならないもどかしさ。だけど本当に大切だったら自分で何とかすべきだという自責の気持ち。この二つがぶつかり合った。答えが出ない問い。結果として僕は「大切な人の気持ち優先」なんて逃げたのかもしれない。
きっと今まで本気で人とぶつかったことがかなかったからだ。僕は卒業式から何も変わっていない。気がつけば、携帯が軋む音をたてるぐらいに強く握っていた。
正直悔しい。僕がもっと経験があればもと上手い解決方法があれば……なんて考えても無駄だって分かっている。だけど、自分以外の誰に笑顔を向ける姿を想像したくなかった。行動してからも後悔だけが僕を取り巻いた。本当に男の腐ったような人間だ。ぐじぐじ悩むなんて。
だけど先輩の気持ちが気になってしょうがない。
これがもしかして「好き」ってことなのだろうか。
「アホか」
僕は一人呟くと、お風呂へ行くことにした。熱いお湯に浸かって、気持をスッキリさせよう。昨日のこともあるので、人に会わないように僕は周りを警戒しながら、風呂場へ向った。お湯は気持ちよかった。「あ~っ」なんて声がでてしまうぐらいに。相変らずごちゃごちゃした気持ちは、ほぐされることはなかった。
「ごちゃごちゃ考えるな。笑っておけば良いんだよ。先輩を安心させるために」
浴場内は僕の声がよく響いた。明日からは普通に接しようと思うことにした。それは相手の気持を考えているというより、自分の弱さを隠したいという気持が大きかったのかもしれない。だけど、今の自分には自身を守ることで精一杯だった。
今日はさっさと寝よう。考えすぎて精神的に疲れた。髪の毛をバスタオルで拭きながら、お風呂場を出る。
「やっと見つけた」
僕は立ち止まり、思考停止に陥った。目の前に立っているのは高月先輩だったから。先輩はやや俯き加減に僕をうかがっている。僕は何も言えずに先輩を見つめたままだった。不意打ちだったので、自分の空いた気持に先輩がすっぽりとはまってしまったのだ。もう視線が動かせない。
先輩は少し照れ笑いのような表情を浮かべていた。今、自分はどんな表情しているんだろう。きっと間抜けな表情だろうな。悲しい表情じゃあありませんように。先輩は僕に見つめられたせいか、視線を反らして、話を続けた。
「なんか、今日は午後から避けられてるみたいだったから」
バレてる! わかりやすかったか。僕は湯上りだからなのか、恥ずかしくなったのか分からないけれど、顔が熱くなった。
「だから、待ち伏せ。お風呂場の前で」
先輩は少し肩をすくめて、瞳を細めた。くやしいけど、可愛い。僕の胸は少し締め付けられる。
ドライブ行ってきます。
2~3時間後に更新するかも。