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10/29 2:59

今回のコメント


職場で出されたエクレアとシュークリーム

どちらか一つを選んだくださいといわれる。


僕は完全なるエクレア派なので、迷わないはず。


だが、他の人が取ったためにエクレアが圧倒的に少ない。


意志を貫きエクレアをとるか。

後の人を考えて、数のバランスをとるべくシュークリームか。


究極の選択を迫られた!

そして僕の選択は……


シュークリームでした~

リープは小市民でした~

バランス重視のてんびん座でした~(関係ない)



***********************************



「隠さなくても良いよ。片思いは日記部の伝統だから」


 御堂真理を見つめる美国の表情は、苦笑いに等しかった。縮まらない距離。たしか昨日高月先輩も同じような事を言っていた気がする。


「でも、俺の答えはいつも単純。『御堂先輩を支えていきたい』ってことだ。怯えながらも強がって進んでいく先輩のために僕はなんでもやる」


 こ、こいつ、恥ずかしげもなく言いたい事を言いやがって。美国は言い切った後、僕をみて、目を細めた。自分の気持ちには迷いがない、ように思えた。僕は何か言い返してやろうかと思ったけど、美国の自信に対抗するものが見つからなかった。


「言わなくても分かるよ。俺と同じぐらいお前があの部長の事を大切に思ってるって。だって、俺たち同じ日記部の後輩だろ?」


 上手く自分で解釈をしてくれたようだ。僕は内心ホッとした。


「お互いの先輩が上手く行くといいな」


 美国は僕に対して手を差し出す。握手しようって言いたいのか。僕は黙って美国の顔を見つめた。ニコニコ笑っている……のかと思ったら、意外に眉間に力が入って真剣な表情を僕に向けていた。


「まったくその通りだけど、恥ずかしい事をすぐに言うなよ」


 僕は美国と握手を交わした。大きくて力強い手が、僕の手を包む。負けないように僕も力を込めた。


 御堂真理が本当に恥ずかしがり屋で寂しがり屋なのかは分からない。だけど、美国が彼女の事をよく知ってて、真剣に支えたいのだということは伝わった。


 高月先輩が僕の事を似ていると言ったのも少し分かる気がした。


「君達が日記部だって事は御堂先輩には黙っててくれるかな?」

「なんで? アンタだって伝えたい重要な情報だろう」

「関係ないよ。この選挙には」


 美国進、ちゃんと話せば嫌な奴じゃなかった。そりゃ高月先輩が好きになる人間だから、当たり前なのかもしれないが、僕にとっては嫌な奴でいて欲しかった。高月先輩と美国進の間に立つ気持ちが薄らいでいく。きっと先輩は美国と話をしたいんだ。その事実を僕の中で隠しきれなくなってしまった。


 少し離れた場所では、高月先輩と御堂真理が背を向けていた。もうすぐ、決着が付くようだ。

 美国進は先輩達をみながら、ため息をついた。


「それにしても『人は幸せにならなきゃい』けないって誰が決めたんだろうな」


 すべての人に当てはまるわけではないけど、日記部のルールには該当する。特に部長の日記は『楽しかったこと』と『悲しかったこと』のページが存在するのだから。毎日が判断されるわけだ。お前の今日は楽しかったのか悲しかったのか。自分の気持ちだから誤魔化すこともできない。頭で否定しても、心は否定できない。事実だけが突きつけられる。


「日記を見ては一喜一憂する御堂先輩を見るのは悪くないけど、これで良いのかなって思うよ。もし、不合格になったら……」


 美国は深くため息をついて空を見上げた。僕にはため息をつく意味が分からなかった。


「別に不合格になっても、日記が豪華ハードカバーにならないだけだろ? あとトロフィーだっけ?」


 空を見上げていた美国は勢いよく顔を戻し、目を見開いて僕を見つめた


「お前、本気でそんなこと思っているのか?」

「え?」


 僕と美国の間に微妙な空気が流れる。予想はしてたけどやっぱり、不合格の内容は違うのか。確かめなければ、僕は美国に話しかけようとした。


「美国~っ! 敵と話してるんじゃない! 早く行くぞ!」

「了解です」


 少し離れた場所から御堂真理の声が聞こえる。美国進は僕を見ながら、親指を立てて去っていった。僕は重要なタイミングを失った気がした。




今日はとりあえずここまで!

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