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10/28 23:46

今回のコメント


日常の第7巻がア~マ~ゾ~ン!から届く。

ふむふむ……くそっ、やっぱり面白いぞっ!(執筆しろよ)



***********************************



 にこやかな笑顔を向けているが、なんだか表面上の作り物っぽくて、僕は自然に警戒していた。まさか、美国からこっちに近づいてくるとは思わなかった。


 少し離れた場所では、滝川先輩と御堂真理が罵り合っている。その後ろでハラハラしながら高月先輩が見守っていた。


「あの二人はなんで君の応援をしてくれているんだい?」

「誰が答えるかよ」


 お前とは話もしたくない。僕は断固拒否するつもりだった。でも美国の次の言葉に僕は釣られてしまう。


「もしかして君は女たらし?」

「違う! お前は言葉遣い古いんだよ!」

「ええっ!? 違うの? てっきりあの二人が君を取り合っているものばかり……」

「あの二人が応戦してくれるのは同じ部活だから! それだけだ!」

「日記部の?」

「そうだよ!」


 僕は言った後に「しまった」と気づく。口元に手を当てるが、時既に遅し。美国はやや俯いて眼鏡を指で上げた。口元はやはり笑っていた。


「やっぱり、君達は日記部だったか……という事は俺ら自体が日記世界の住人ってわけだ」


 アホだ。僕はアホだ。簡単に口車に乗ってしまった。余計に警戒されるじゃないか。美国は笑顔のままゆらりゆらりと僕へ近づく。僕は拳を強く握った。美国は手を振り上げてそのまま下ろされる。僕は身構えた。


「いや~、お互い一筋縄ではいかない先輩を持って大変だね~!」


 暢気な声が聞こえたかと思うと、肩を何度も叩かれた。僕は口を開けたまま固まる。


「で? どっちが部長? あの髪の長い人だよね。絶対そうだ。だって君、あの人のときだけすぐに俺の前に立ったもん」


 なんだこの軽さは。初対面の時も思ったけど、こいつノリが軽すぎる。僕は身体の力がぬけると、堰を切ったように言い返した。


「なんだよ、なんなんだよ、本当にお前は美国進なのか!」

「え? 俺のこと前から知ってるの? ってことは直接の後輩?」

「僕は直接知らないよ……って、知ってても言うか!」

「いや、もう半分言ったも同然だし。そうかぁ……後輩だったのか~」


 腰に手を当て、「わははは」と気持ちよさげに笑う。しばらく笑った後、脱力したように「はぁ~あ……」と言って黙って俯く。そのままの姿勢で数分が経過した。


 少し離れた場所ではまだ滝川先輩と御堂真理が言い合っている。


 それにしても喜怒哀楽が激しいな、美国進。あまりに俯いたまま固まっているので、僕は心配になって覗き込む。すると閉じていた美国の口が少し歪んだ。同時に舌打ちも聞こえた気がする。


「と言うことは試験……なわけだ」


 顔を上げると元の笑顔に戻っていた。何か意味があるのだろうか。僕は心に少し引っかかりを感じた。だけど、続けざまにされた質問に上書きされてしまった。




更新は1~2時間後。


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