10/28 23:46
今回のコメント
日常の第7巻がア~マ~ゾ~ン!から届く。
ふむふむ……くそっ、やっぱり面白いぞっ!(執筆しろよ)
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にこやかな笑顔を向けているが、なんだか表面上の作り物っぽくて、僕は自然に警戒していた。まさか、美国からこっちに近づいてくるとは思わなかった。
少し離れた場所では、滝川先輩と御堂真理が罵り合っている。その後ろでハラハラしながら高月先輩が見守っていた。
「あの二人はなんで君の応援をしてくれているんだい?」
「誰が答えるかよ」
お前とは話もしたくない。僕は断固拒否するつもりだった。でも美国の次の言葉に僕は釣られてしまう。
「もしかして君は女たらし?」
「違う! お前は言葉遣い古いんだよ!」
「ええっ!? 違うの? てっきりあの二人が君を取り合っているものばかり……」
「あの二人が応戦してくれるのは同じ部活だから! それだけだ!」
「日記部の?」
「そうだよ!」
僕は言った後に「しまった」と気づく。口元に手を当てるが、時既に遅し。美国はやや俯いて眼鏡を指で上げた。口元はやはり笑っていた。
「やっぱり、君達は日記部だったか……という事は俺ら自体が日記世界の住人ってわけだ」
アホだ。僕はアホだ。簡単に口車に乗ってしまった。余計に警戒されるじゃないか。美国は笑顔のままゆらりゆらりと僕へ近づく。僕は拳を強く握った。美国は手を振り上げてそのまま下ろされる。僕は身構えた。
「いや~、お互い一筋縄ではいかない先輩を持って大変だね~!」
暢気な声が聞こえたかと思うと、肩を何度も叩かれた。僕は口を開けたまま固まる。
「で? どっちが部長? あの髪の長い人だよね。絶対そうだ。だって君、あの人のときだけすぐに俺の前に立ったもん」
なんだこの軽さは。初対面の時も思ったけど、こいつノリが軽すぎる。僕は身体の力がぬけると、堰を切ったように言い返した。
「なんだよ、なんなんだよ、本当にお前は美国進なのか!」
「え? 俺のこと前から知ってるの? ってことは直接の後輩?」
「僕は直接知らないよ……って、知ってても言うか!」
「いや、もう半分言ったも同然だし。そうかぁ……後輩だったのか~」
腰に手を当て、「わははは」と気持ちよさげに笑う。しばらく笑った後、脱力したように「はぁ~あ……」と言って黙って俯く。そのままの姿勢で数分が経過した。
少し離れた場所ではまだ滝川先輩と御堂真理が言い合っている。
それにしても喜怒哀楽が激しいな、美国進。あまりに俯いたまま固まっているので、僕は心配になって覗き込む。すると閉じていた美国の口が少し歪んだ。同時に舌打ちも聞こえた気がする。
「と言うことは試験……なわけだ」
顔を上げると元の笑顔に戻っていた。何か意味があるのだろうか。僕は心に少し引っかかりを感じた。だけど、続けざまにされた質問に上書きされてしまった。
更新は1~2時間後。




