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10/28 7:44

今回のコメント


今日の一句


書き終えた

原稿の前で

一眠り


リープです。


元々後一回の予定でしたが、意識が完全シャットダウンしてしまいました。



***********************************



「だから言ったでしょ。高月先輩は悪魔だって」

「本当の悪魔は滝川先輩だぞ」

「はぁ、甲斐斗。本当の目を失ってしまったか」

「僕は元々心眼がない」


 沙和とやり取りをしている間に、先輩達と百メートルぐらい離れてしまった。僕はちらりと道の先を横目で見る。それを沙和は見逃していたなかった。


「先輩達が気になる?」

「いや、別に……」

「本当に先輩達と関わるのは止めた方がいいって。昨日も言ったけど高月先輩と一緒にいたら甲斐斗が傷付くって」

「お前なぁ、まだそんな――」


 僕が言いかけると、沙和は言葉を被せた。


「今日だってたんこぶ作ってるじゃん」

「これは滝川先輩が……」

「この前だって、ススだらけだったじゃん」

「あれは高月先輩は関係ない」


 畳み掛けるようなやり取りに、だんだん僕の中でも頭で整理できないまま、言い返している。次第にヒートアップする自分を抑えられなかった。

 それは沙和も同じようで、ついに大声を上げた。


「それだけじゃない! 小さい擦り傷とかいっぱいしてるでしょ、隠してたってわかるんだから! それ全部高月先輩が原因なんでしょ!」

「いい加減にしろ! 事情も知らないくせに!」


 僕が言った瞬間、沙和は言葉を詰まらせたように黙り込む。急に周りの生活音が耳に入ってきた。少しだけ冷静になった僕は失言だったと後悔した。視線を逸らした沙和は俯いた。


「じゃあ、教えてよ」


 今度は僕が黙る番だった。俯いた沙和の顔からは引きつった口もとが見え隠れする。


「どうせ教えてくれないんでしょ。心配させるような言動するくせに……そりゃ、勝手に心配してるって言われるかもしれないけどさ。大切な人が傷付いているのに黙ってるなんてできないよ」

「すまん」


「『事情も知らないくせに』なんて言われたら、もう話は終わりだよ。扉を閉めたのはそっちじゃん……なんで教えてくれないの? 私じゃあ頼りない?」

「そいう問題じゃあ……」

「私にはそういう問題なの」


 僕だってこれが他愛のない、人間関係のもつれだとかなら、愚痴るさ。でも、違うんだ。ちゃんと説明したって、どうせ「ふざけないで」とか言われるのがオチだ。それに説明すれば、高月先輩の個人的な話にも言及しなければならなくなる。やっぱり無理だ。


 僕はなるべく冷静を保つ事を心がけながら、沙和に伝えた。


「駄目だ。これは日記部の問題だから」


 一瞬沙和の肩が揺れたような気がする。


「私は部外者だっていうの? もう、昔みたいに何でも話してくれないんだね」

「ごめん」

「謝るぐらいなら、『駄目だ』なんていわないでよ」


 僕はそれ以上何もいえなかった。言ってしまえば、沙和を引き止めたことになる。沙和はゆらゆらと歩きはじめ、僕の前を通り過ぎていった。




んじゃあ夜にでも。

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