10/27 2:58
今回のコメント
なんか寒くなってきた!
一週間ぐらい前まで、一瞬半そででもまだ大丈夫じゃね?って思ってたのに!
今じゃ上着を着ないと寒い状況。
だんだん秋っぽくというより冬になってしまう!
秋よどこへ行った~
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「確かに状況はよくないけど。君が来てくれてからの成績は……誇っても良いよ。『僕のお陰で挽回できたんでしょ』って」
僕が少し顔を上げると、数十センチに迫った高月先輩の顔があった。瞳がキラキラと輝いていて、力強さを感じた。先輩は全然諦めていない。外者の僕が当事者の先輩より悲観してどうするんだ。僕は拳をさらに強く握る。
「すいません。全然知らないまま、暢気に……」
「言わなかった私が悪かったの。ごめんなさい。でも見て」
先輩は日記を広げて『楽しかったこと』の最新のページをめくる。
「もうすぐ日付が変わるから。目を離さないで」
注目すると、白紙だったページにだんだん文字が浮き上がってきた。僕は目を離せない。
「この五日間毎日結果が現れるの。今日はほら、『楽しいかったこと』が埋まっていったでしょ?」
自然に日記から高月先輩へと視線が移っていく。先輩は柔らかな笑みを浮かべていた。固まっていた心がどんどん解けていくような、じわっとした暖かさが僕を覆った。
「だからさ、頑張ろう、ね?」
言葉に詰まって何も言えなかったけど、僕は何度も頷いた。すると先輩はさらに表情を緩めた。それだけで僕の緊張は解けていく。
さらに余裕が出てくると、ふと思う。にしても……この距離近すぎないかな? 高月先輩も気づいたみたいで、至近距離で視線がぶつかった。普通に目が合った以上の引力で先輩の瞳から目を離せない。それどころか吸い込まれそうだった。先輩も僕を見つめている。
これって、このまま……という思いが駆け巡った。
僕の顔が熱くなり、少し顔を近づけた時、襖が開く音がした。
「おい、亜也。いつまで起きてるんだよ」
滝川先輩が顔を見せた瞬間、高月先輩はものすごい勢いで机から飛び退き立ち上がった。僕は畳を転がって部屋の墨にぶつかった。
滝川先輩は口をぽかんと開けたまま、しばらく動かない。やがて、少しずつ言葉がもれてきた。
「おおおお、お前等、ななななな、何を……」
「す、すいませ~んっ!」
僕は体勢を建て直し、滝川先輩と反対の襖から脱出する。廊下を走りぬけ、角を曲がったところで、滝川先輩の大声が響き渡った。
「草弥~っ! 貴様、許さんっ!」
「待って、夕実、誤解なの! っていうか、なんで草弥君は逃げるの!」
「ごめんなさ~い!」
これだけ走っても自室に辿り着けないとは、さすが大豪邸。なんとか部屋に辿り着くと敷いてあった布団の上に飛び込んだ。息を切らせながら、さっきの事を反芻する。
あの非常にまずい状況で先輩は本当に強い。この境地になるまで、どれだけの日数を過ごしただろう。きっと高月先輩なら大丈夫だ。僕は先輩についていく。最大限のフォローはするつもりだ。さしあたっては選挙に当選すること。
まずは自分にできる事をしよう。僕は心地よい疲れを感じていた。
翌日、僕は滝川先輩に寝込みを襲われ、朝一で殴られたのは言うまでもない。
今日はここまで~