10/20 23:45
今回のコメント
いかん。そろそろお話を整理しないととっちらかってくる時期だ。
これは後で後悔するかもしれないけど、ちゃんとこの連載の統計取ってるんだよね。
執筆バイオリズム的には、この時期辺りが一番苦しい時なんだよね。
だから、そろそろちゃんと書くことを整理しないと、日常シーンがただ続くだけなっちゃう。
日常を描く話ならいいけど、トロフィーは違うからね。
ふむ……整理しないと。
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沙和がドイツ人かどうはさておき。言葉はふざけているけど、反省してるみたいだから、許すとしよう。
「冗談いえるぐらいだから、元気なんだな。じゃあ切るぞ」
「待って、待って、待って!」
沙和が大声が受話器越しから聞こえる……う、うるさい。僕が「なんだよ」って言うと沙和は「よく聞いてね」と前置きした。
「高月先輩には気をつけて。あの人は小悪魔だよ。いや、稀代のワルだよ」
「なにそれ? 若い僕にはわからないなぁ」
「きっといつか甲斐斗を危険な目にあわせるよ。あの人はそういう顔してる」
人の悪口を言うようなタイプじゃなかったのに、どうしたんだコイツは。僕は頭をかきながら、ため息をつく。
「お前なぁ。高月先輩とまともに話したことないのに印象で語るなよ」
「語るよ! 甲斐斗を守るためだったら!」
「守られている覚えはないぞ」
「影からそっと見守ってるから!」
「だったらメール送ってくるなよ。思いっきりアピールしてるじゃねえか!」
「たまには褒めて欲しいし」
沙和……お前はどうしたいんだ。気持ちがさっぱり分からん。心配してるのは分かるが、お前のしている事は結局、僕と高月先輩の邪魔だぞ。
そして言ってはいけない気持ちを僕は思わず口に出してしまった。
「見苦しいぞ」
すると、数秒の沈黙の後、沙和はポツリと答えた。
「だって心配なんだもん……」
この言葉を聞いた瞬間、僕は胸の奥が締め付けられるような感覚になった。心配の裏返しとして、気になる人(沙和の場合は友達)の邪魔ばかりしてしまう。それって僕じゃないか。沙和がなんとなく自分とだぶった。僕も見苦しいのだろうか。
実際、僕も美国とはまともに話した事はない。だけどアイツの事を嫌いだと思ってる。話す機会があると二人の間に入って、高月先輩の気持ちを無視して追い払っている。僕は最低だな。
「おい、沙和」
「ん?」
「心配してくれてありがとうな。だけど普通で良いんだよ。無理に僕を助けなくて良い。お前の気持ちだけありがたく受け取るよ」
「うん……」受話器越しに沙和が泣き声なのが分かった。本当に僕のこと心配してくれているんだな。高月先輩の事は誤解だけど。
「メールはして良いけど一日三通まで」と約束して沙和との電話を切った。
沙和には直接、間接あれど、いつも世話になってるな。期末テストが終わったら何かおごろう。僕は気持ちが少しだけ軽くなったような気がして、お風呂へ行くため部屋を出た。
更新は1~2時間後です。